ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

10月のまとめ『地球が寂しいその理由』など

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:1902ページ

 ドーモ。生きております。諸々、ありました。月の頭は小説がほとんど書けず、半ばもふわふわ寄り道し、月末近くに本懐へと、残されたものはもう本当にそれしかないのだと思うこととなりました。いやね、もう30歳になったのですよ、と。そうしたら今年はWish Listからなんと5冊も本を贈っていただいて、いやはや〜ありがたいことです。大切に読ませていただきます。とりあえず来年4月の〆切を目指してがんばるぞい!

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

■ドミトリーともきんす
 すばらしい。科学の中に詩を見つけられた人々の、その探求の一端をかいま見られた、そういう背筋の伸びるような、不意に泣きたくなるような、よさがあった。引用される文章を飲み込み、一コマに込められた動きのあるマンガを読み解く、とても幸福な読書体験だった。読了日:10月30日 著者:高野文子


ヴィンランド・サガ(15) (アフタヌーンKC)
 クリーア編開幕。奴隷制の次は性差別に切り込んでいくのか。最後に連載の時にも叫んだけど「逆方向かよ!!」――これで10年はかかるな。読めるって意味ではうれしいような……でもきっちり完結して欲しいしなぁw 読了日:10月28日 著者:幸村誠


ドリフターズ 第4巻 (ヤングキング・コミックス)
 1対1の戦闘から戦争へとシフトしつつあるのがよくわかる見せ方だと思った。その中のひとりだとは、豊久は理解はしてるのだなぁなるほど。あとあの大筒は松本で取材したやつかな。カバー下のバンドネタに声だして笑ってしまった。あとおれもミキプルーンがやった方の「壬生義士伝」が好きです。読了日:10月28日 著者:平野耕太


ブラッドハーレーの馬車

ブラッドハーレーの馬車

■ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)
 残酷さも美しさも、四話の「家族写真」のダッシュや五話の「澱覆う銀」の「はは……自分でも驚いてますよ」の表情に比べたら些細なことだと思わせられる。過酷な世界でそれでもそういうものを期待してしまう、自分の甘さを自覚させられる。読了日:10月28日 著者:沙村広明


竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)
 沙村広明の変名で描かれた「ラブ」コメディ。すばらしい。笑いの解説はいつもむつかしいと感じるのだけど、ネタが提示されるタイミングはコマ割りでかなりコントロールできるのだろうし、枠外のメタ要素でも笑わしてくるしで、情報量が多くて楽しくて仕方ない。こういう大学生活いいよねって素直に思わせられる雰囲気も抜群だ。
読了日:10月28日 著者:沙村広明


■地球が寂しいその理由 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
 六冬和生のデビュー後第1作。地球と月の人類生活を管理している、アリシアとMという超高度AIを語り手に、ロックスター・オパールを通して描かれるのは、デビュー作とも通底するとてもプリミティブな衝動だったように思う。軽妙な会話も楽しめたし、ラストの余韻をタイトルが引き継ぐのもよかった。なかでもいちばん印象深かったのは、第二部でのオパールの月面観光のシーンだった。ふと肩の力が抜けるような描写がグッと来た。あとやっぱり東南アジアが隆盛する予測になるのなーって。読了日:10月28日 著者:六冬和生


■悪夢のカーニバル (徳間文庫)
 ブラッドベリの初期探偵小説集。習作がほんとに習作でうーむと思って読みすすていたら「悪党の処理引き受けます/悪党どもは地獄へ行け」がすごくおもしろかった。ダウザーというキャラの、捨て鉢になって命を投げ出すことで悪党を掻き回して自滅させるというスタイルは分類できないおもしろさがあった。あとは「お菓子の髑髏」がブラッドベリには珍しいラティーノ文学だったので新鮮だった。読了日:10月25日 著者:レイ・ブラッドベリ


■文房具ワルツ (フラワーコミックススペシャル)
 なずなさんがすごくかわいい。めちゃタイプですw 河内遙の描く女の子は少し外したところに魅力をもたせられるというのがすばらしいなあ。先生も漫画家もいいキャラでした。読了日:10月12日 著者:河内遙


アリスと蔵六 4 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 4 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 4 (リュウコミックス)
 こういうかたちでポストヒューマンを丁寧に描いていくというのは新鮮だ。バトルは前巻までであったけれども。ただそれがどうしても物語運びの遅さにつながっているような気がしてしまう。でも観覧車はすごく映えるなぁ! 読了日:10月12日 著者:今井哲也


■デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 1 (ビッグコミックススペシャル)
 浅野いにおの最新連載。3.11に『第9地区』のイメージをかぶせ、丁寧にいまをトレースしつつ、ズラして描こうとしていることがわかる。でもそういう社会にコミットした云々の部分よりも、こいつは完璧に非リア女子高生二人組のキャラクターがすばらしいのだ。そういう普遍的な今どきさをちゃんと描けるのはブラフでもすごいなぁおもしろいなぁって。特におんたんのお兄さんがいいキャラしてる。読了日:10月1日 著者:浅野いにお