ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

凪良ゆう『流浪の月』東京創元社

【2020年本屋大賞 大賞受賞作】流浪の月

【2020年本屋大賞 大賞受賞作】流浪の月

 今年の本屋大賞1位は凪良ゆう『流浪の月』でした。おめでとうございます。
 プルーフの段階で読ませていただいて、その時の感想が、応援ペーパーに採用されたぐらい、推している1冊です。
 ↑これですね。せっかくですのでここでその全文を公開しようと思います〜。

 いったいどうなってしまうんだと続きが気になって一気に読んでしまいました。とてもスリリングな読書体験で、読めてよかったです。不穏なストーリー展開のなかで、いまはまだ名付けることのできない、人と人との強い関係が、静かな月の光のように輝いていました。こんな強いつながりを得ることができれば、きっと更紗も文も、大丈夫だろうな、と羨ましく思いました。

 強い絆の物語をお求めの方に、おすすめの1冊です。

3月の読書のまとめ

読んだ本の数:8冊

建築知識2020年1月号

建築知識2020年1月号

  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: 雑誌
■建築知識2020年1月号
 書店開業特集。めちゃ勉強になったし、動線までしっかり配慮した店舗から考えるみたいなのがよかった。読了日:03月26日


■SEKIRO 外伝 死なず半兵衛 (電撃コミックスNEXT) 読了日:03月21日 著者:山本晋
 SEKIROの「死なず半兵衛」が荒れ寺にたどり着くまでの話。獅子猿、蟲憑きや赤目の設定補完もあるし、名台詞もあってすばらしい外伝作品になっている。ただ一点、半兵衛が仮面をしたのはなぜなのか。鈴に半兵衛と認識されないためだったのかな。→後日友人がいい解釈を教えてくださいました。


■ながたんと青と-いちかの料理帖1〜4 (KC KISS)
読了日:03月19日 著者:磯谷友紀


■かげきしょうじょ!! 9 (花とゆめコミックススペシャル)
読了日:03月05日 著者:斉木久美子


SFが読みたい! 2020年版

SFが読みたい! 2020年版

  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 単行本
SFが読みたい! 2020年版
読了日:03月03日

海猫沢めろん『キッズファイヤー・ドットコム』講談社文庫

 文庫化の機会に、過去に書いた感想をアップしてみます。

 すごくおもしろかった。どんなオススメコメントを書いても、すこしもおもしろさを伝えられる気がしない。それでも言葉を尽くしてみようと思う。まず「キッズファイヤー・ドットコム」で子育てから現代社会の問題を提示し、ITと人の誠実さからひとつの可能性、その萌芽を描き、続く「キャッチャー・イン・ザ・トゥルース」でその可能性を敷衍してあり得べき未来を描いてみせる。ただその至近未来は決してバラ色の社会ではない。既得権益がひっくり替えると強者は弱者となり社会は図らずともまた、生き辛い人々を生み出してしまう。それでもこの小説はそれだけでは終わらせない。また可能性を描く。だからこれはSFである。それもめちゃくちゃにおもしろくて、とてもリリカルなSFだ。
 個人的なことではあるがかつて『零式』を読み、ゼロ年代を蕩尽した自覚のあるぼくには、ひと世代上の著者がこういう視点を提示してくれることを、とてもうれしく思った。

零式 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)