- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/04/10
- メディア: 文庫
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この作品は、どうしようもなく低い視点から「これからまだまだ生きていいはずの命がざっくりと無慈悲に奪われる」ことがそのまま描かれていたからだ。かぎかっこの中身に対して、無性に腹が立った。「命よりは大切なのもはない」なんていう大きな物語をこれほど低い視点から悲劇ではなく公平に、それなのに殴りつけるように描けているのもすごいと思った。この作品にあるのは決して感傷で悲劇的に彩られた世界ではなく、公平で誰にでもあるはずの営みでしかないから、こんなにも胸に来るのだと思った。