ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

『サマー/タイム/トラベラー』

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

 
サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

 地方都市が描かれていました。ものの見事に。
 自分が読みたいものを、読みたいときにぴしゃりと読んだときほどうれしいものはありません。
 SFと青春小説が見事に合わさっていて、やられたーって感じです。
 やっぱ夏には魔物が住んでますよ(笑)

 わざわざ二巻にもレビューを書いてみる。
 四人の頭のいい高校生が、頭のよさを無駄にしつつ読書や「プロジェクト」に明け暮れるさまは見ていて/読んでいてすがすがしささえ感じましたね。
 伏線ばりばりのメランコリーな独白が、ページをめくる手を休めさせてくれませんでした。すばらしいリーダビリティ。ただ章の切り替わりが激しいので、なかなか没入できずにいちいち物語と距離を置くことになってしまっている感じがしました。しかしこれはおそらく狙ってこういう形式を採用したのでしょう。
 なぜってそりゃ、終わってしまった過去の出来事を描いているのですから、記憶は切れ切れ・思い出し思い出し書いている、といった演出のためではないのかと。そうすることでいっそう「懐かしさ」を演出しようとしているのではとないのかと、わたしは読みました。
 いんやマジでよっかったんでお勧めです。