ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

やつはみ喫茶読書会四十三冊目 『私自身の見えない徴』

 やつはみ喫茶読書会四十三冊目 エイミー・ベンダー『私自身の見えない徴』@半杓亭
 2017/04/01(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書:エイミー・ベンダー『私自身の見えない徴』角川文庫
 作品内容:10歳の時に父親が原因不明の病になり、モナは「止めること」を始めた。唯一続けたのは木をノックすること、そして数学。父の病は癒されず、世界は色を失いながら彼女は大人になった。20歳を過ぎたある日、小学校で算数を教えることになったモナ。個性ばらばら、手に負えない子供たちと交わりながら、閉じていた彼女の世界が否応なく開かれてゆく――。現代アメリカ文学の明るい、新たな可能性が垣間見える、著者初の長篇傑作。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代600円(この会でしか食べられない、おいしいおやつがでますよ~)
 定員:12名。要予約。開催の1週間前までにご連絡ください。定員に達した場合も告知いたします。またキャンセルされる場合はなるべく早めにご連絡ください。当日キャンセルをされる場合はキャンセル料をいただきます。あらかじめご了承ください。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.com宛に、1.お名前、2.ご連絡先、3.過去に読書会に参加したことがあるか、4.アルコールの出る二次会の出欠、を記載のうえご連絡ください。

 無事に終了しました~。今回は6名のかたにご参加いただきました。ありがとうございました。マジックリアリズム的な街や設定、多様な比喩をどうのように読み解くのか、リフレインするモチーフを拾っていくと見えてくるもの、最初の寓話の、最後の語り直しについてなど、いろいろな感想が出て、やはり噛みごたえのある作品は盛り上がるのだなと思ったのでした。よかったよかった。
 さて次回は6/11(日)を予定しています。なんとお寺とのコラボ企画。坐禅会をやってからの読書会です。詳細はまた後日アップします。なお坐禅会への申込みは半杓亭さんへお願いします。

*1:場所を移動して行う、アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。

3月のまとめ

読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2746ページ

■私自身の見えない徴 (角川文庫)
 読書会用。繊細であることと独りよがりであること、ああこういうふうに悩んでいたなぁという置いてきた共感とが、湿度の高い筆致で丁寧に描かれていた。細部の不可思議さは確かにエイミー・ベンダーの短篇と共通する部分があるとは言え、リアリティ・ラインはまったく現実に根差してあり、モナにはそう見えているということに他ならないのだろうな。それがきっと苦戦した理由だろうと思っている。読了日:03月30日 著者:エイミー・ベンダー


双星の陰陽師 9 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)双星の陰陽師 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
双星の陰陽師 1~9 (ジャンプコミックス)
 ジャンプスクエアで連載中の陰陽師バトルもの。アニメ化もされている。ひとつ屋根の下でいがみ合うふたりが因縁深い過去と目前の危機とを乗り越えていくことで、仲を深めていく。本土篇が一区切りしたところまで読んだ。次巻から島篇なんだけれど、あとがきに本来は1話後にすぐ島へ向かう展開だったと書かれており、なるほど!これが長篇化なのか!と長期連載(ここまでで3年ぐらいかかってる)のそれなのかと思った。でもそのかわりきっとろくろの過去や紅緒の過去が丁寧に描かれることで、結果的に双星が強調されていたのだな。時折ふたりが見せる凛々しくも幼い表情はすばらしい。キメの表情がほんとにうまい人なんだよなぁと。デフォルメもかわいいし。
読了日:03月23日、24日 著者:助野 嘉昭


ORIGIN(1) (ヤングマガジンコミックス)

ORIGIN(1) (ヤングマガジンコミックス)

■ORIGIN(1) (ヤンマガKCスペシャル)
 Boichiによるハイスピードロボットアクション!圧倒的描き込みと崩しのバランスがすばらしい。すこしズレたオリジンの感覚がコミカルでいいスパイスになってると思う。読了日:03月09日 著者:Boichi


地底旅行 (岩波文庫)

地底旅行 (岩波文庫)

■地底旅行 (岩波文庫)
 1860年代の、当時最先端の科学的な知見を積み重ねることによって、いまでも読むに耐える冒険小説になっていた。こういう姿勢は確かにSFだ。キャラクターも魅力的できちんとデフォルメされていて笑えた。でもまさか3分の1を過ぎても地表にいるとは思わなかったぜ!w 地表の移動も読ませどころなのだとはわかるけれど。地球空洞説というのがあったんだなぁということと、プレートテクトニクスが提唱されたのが1960年代という事実を読了後に知り、そんな最近なのかと驚いた。読了日:03月08日 著者:ジュール・ヴェルヌ

神山健治『ひるね姫』

 神山健治監督・脚本の『ひるね姫』を見てきましたよ。舞台は、なんと地元の岡山ということでいそいそと見てまいりました。ぼくは『攻殻機動隊SAC』と『東のエデン』は一通り見ていますが決していいファンではないということを先に断っておきます。
 まずはストーリーをざっくりと。

岡山県倉敷市児島、瀬戸大橋のたもとののどかな町で、無愛想な自動車整備士父親と二人暮らしをしている平凡な女子高生の森川ココネ。得意技は昼寝で、いつも昼寝ばかりしている彼女だったが、最近、不思議なことに同じ夢ばかり見る。そして2020年、東京オリンピックの3日前に突然父親が警察に逮捕され東京に連行される。悪事を働いたとは思えないココネは、父親逮捕の謎を自力で解決しようと、幼馴じみの大学生モリオを連れて東京に向かう。その途中、彼女はいつも自分が見ている夢にこそ、この謎を解決する鍵があることに気づき、夢とリアルをまたいだ不思議な旅に出る――。映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」オフィシャルサイト 神山健治監督初の劇場オリジナルアニメーション!

 とても現代的でかわいい女の子が地元の方言をしゃべっているだけでなんだかほっこりしますし、瀬戸内の風景は、至近未来とはいえ、いまそこにある一瞬を切り取ってあり、とてもぐっとくるものがありました。ストーリーも動きのある活劇を、夢のシーンに持ってくることで飽きることなく見られました。エンジンヘッドとかハーツの変形とかそういうメカメカしい部分もとてもよかったと思います。冒頭の空港での逃走劇の動きや、クライマックスでココネが走るシーンが、好きですね。動きのあるシーンを自分の視覚の解像度に合ったように見られる気がするのが、アニメのおもしろいところだなと改めて思いました。マクガフィンタブレットなんですが、タブレットだけあってアクティブに機能するあたり、おもしろいなと思いました。あと新幹線を降りたシーンで白鳥哲さんが出ていたのが、声を聞いた瞬間すぐにわかってすごくうれしくなったのはなんとも自分でも笑ってしまいましたね。ストーリーも、決して悪いわけではない父と娘、そして母の関係を再構築していく話として、感情の流れはきれいにハマっていたと思います。ハートフルファンタジーというのがしっくりくる感じでしたね~。

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