ブックスエコーロケーション

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『Boy’s Surface』

S-Fマガジン 2007年 09月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2007年 09月号 [雑誌]

 写像が語る「僕たちの初恋の不可能性を巡る物語」――注目作家の最新中篇100枚。

 円城塔の第137芥川賞候補後第一作。
 なにかから語ればいいのかしら・・・・・・と茫然としてしまう。
 解釈の欲求の刺激とか言ってられない。全部わかる人は、円城塔以外にいるのか?
 ほんと、ジャンルとジャンルの境界で自意識的に脱構築している人ってのはこんなにわけわからんもんなんか……。
 そういう意味ではもうすごく、乱暴な言い方をしてしまうとアヴァンギャルドな作品でした。
 構造としては「何億光年離れた恒星を望遠鏡でずっと観察し続ける多数の入れ子の一番外側の入れ子による、自己言及」ではないかとわけわかってないけれども書かずにはいられません。
 だんだんとわけのかわらないさ=かっこよさのレベルがあがってます。もうこれ絶対。
 でも、飛先生だって、伊藤計劃だって、うんなんかショックを受けつつもなにかをつかんでいるようなのはよくわかるけれど詳細はさっぱりだし、日向くんのだっていまいちつかめているのかどうか、と思ってしまう。いや単なる自己防衛ですが。
 いや、それでもなんつうかきちんと、ナイーブ。それが最初のエクスキューズ=「僕たちの初恋の不可能性を巡る物語」へと終着するんだろうと。そこで、飛先生の言及が意味を持つんじゃねぇのか、とも思った。まぁ再読は必須か。

「疑う暇があれば研究せよ」