『オブ・ザ・ベースボール』
著:円城塔
【初出】文学界 2007年 06月号 [雑誌]
1年に1度、人が降って来る街/レスキューチームは9人/名はファウルズ/携えるはバットと饒舌なペダントリーと類稀なる思索。
語りの妙で、キャラクターは全然動かないのだけれど、物語は駆動している、ドライヴする。
そういった点/言葉で、語りで物語を駆動させるという点では、舞城王太郎や古川日出男と同じ手法を採用しているのではないのか。しかしそこで語られるのは論理と物理に裏打ちされた、思弁的で思索的な無駄話。それが読者の前に「停滞し続ける」。これは予兆。伏線ともいえる。
明晰に、明快に、論理的に語られるだけ、狂っている感がひしひしと伝わってくる(でもたぶん武田先生は足りないっていうと思う)。
まだ途中。選評にかなり影響を受けているのが、じぶんでもわかる。悔しい。
読了。
つか、これ、青春小説じゃん、まっとうな!
すっげ!こうきたかぁ……スペキュレーションSFかと思ってからやられたわぁ(笑)。
なんつうか、打ち返すところと歩き出すところで、震えっぱなし。
行儀のいい着地点だったけれど、これはずっと読み直したいと思えるような小説だった。
思考/思索的な青春小説……そうか、だから『バッター・イン・ザ・ライ』だったのか……。