ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

6月の読書のまとめ

読んだ本の数:24冊

 なんかコミック買いすぎな気がしないでもないですが、マテリアルとしての本はそんなに増えていないので良しとしましょう。けっきょく置き場所に困るということに気がつき始めました。


たいようのいえ(1) (デザートコミックス)たいようのいえ(2) (デザートコミックス)たいようのいえ(3) (デザートコミックス)たいようのいえ(4) (デザートコミックス)たいようのいえ(5) (デザートコミックス)たいようのいえ(6) (デザートコミックス)たいようのいえ(7) (デザートコミックス)たいようのいえ(8) (デザートコミックス)たいようのいえ(9) (デザートコミックス)たいようのいえ(10) (デザートコミックス)たいようのいえ(11) (デザートコミックス)たいようのいえ(12) (デザートコミックス)たいようのいえ(13) (デザートコミックス)
たいようのいえ 1~13 (KC デザート)
 絵柄がかわいくてずっと前から読みたいと思っていた。Kindleで購入。2、3日かけて少しずつ読み進めた。疑似家族ものがだんだんと意味をスライドさせて恋愛ものになっていく、大きな意味で愛の物語だった。たいへんおもしろかったし、前述したが主人公の女の子がすごくかわいいのと、ぶっきらぼうな口調とのギャップ、そしてそれがだんだんと直っていくのがとてもよかった。長期連載なので、冒頭ではケータイ小説が重要な意味を持っているが、後半ではさらりとスマートフォンが出てきていたりと時の流れを感じさせる。読了日:06月28日 著者:タアモ


平賀源内捕物帳 (朝日文芸文庫)
 久生十蘭が別名で書いた、平賀源内が探偵役の捕物帖。冒頭の1作目が、最初は流星による殺人と見せてさらなるトリックでという……ケレン味たっぷりの推理小説で驚いた。文体も流麗でキャラも立っててさらさら読める。ただ後半になるにつけだんだんとほめていいのかけなしていいのかよくわからないトリックが続き、さいごには探偵役が代わってしまう。なんとも不思議な小説だった。読了日:06月28日 著者:久生 十蘭


キッズファイヤー・ドットコム

キッズファイヤー・ドットコム

■キッズファイヤー・ドットコム
 プルーフで。これはほんと限定的なオススメの仕方だと思うのですが、「次世代型作家のリアル・フィクション」を好きだった方々にぜひ読んでもらいたいやつでした。「テクノロジーが人間をどう変えていくのか」をリリカルに描いた、海猫沢めろん先生の傑作SF『キッズファイヤー・ドットコム』をよろしくお願いします。読了日:06月22日 著者:海猫沢めろん


ゴーストマン 時限紙幣 (文春文庫)

ゴーストマン 時限紙幣 (文春文庫)

■ゴーストマン 時限紙幣 (文春文庫)
 かっこいいケイパー小説っていうのをまともに読んだのは初めてかもしれない。何者でないことで何者にもなれるというゴーストマンがすごくかっこよかった。ケータイをガンガン捨てたり車を乗り捨てたりそういう細部の積み重ねと、現在の追跡行と過去の犯罪とが交互に描かれる構成もさすがのでき。ジャックとアンジェラの関係も、安心感があっていいなぁ。こういう関係が描けるのがすごい。この小説がRHが生きていた証と言える、そういうすごい小説だった。読了日:06月19日 著者:ロジャー・ホッブズ


鋼の錬金術師 22巻 (デジタル版ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 23巻 (デジタル版ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 24巻 (デジタル版ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 25巻 (デジタル版ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 26巻 (デジタル版ガンガンコミックス)鋼の錬金術師 27巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)
 実写映画の予告編を見て、思わず実家の母に連絡し、棚に何巻まであるかを確認してもらって読んでいなかった巻を購入する。改めて(言うまでもなく)荒川弘のうまさは1コマで情報をどうやって見せるのか、戦闘シーンにおける伏線の貼り方というマンガ的なうまさにあると思う。それと大きな物語をがっつり考えて、それでいてほんとうにマンガに必要なところしか描かない抑制された理性が、ほんとうに信頼がおけるのだなと思った。それは見返しの作者コメントにも如実に描かれている。読了日:06月18日 著者:荒川弘


プリンセスメゾン 4 (ビッグコミックス)

プリンセスメゾン 4 (ビッグコミックス)

プリンセスメゾン 4 (ビッグコミックス)
 今回もよかったなぁ。ついに家を買う話。というかさまざまな、人生のありようを描くことで読者のいろいろな呪いを解いてくれる、とてもいいマンガです。読了日:06月14日 著者:池辺葵


久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)
 読書会用。タイトルがさらっと意味を持つし、構成や漢語混じりの表現がほんとうに巧みで読んでいて惚れ惚れする。その表現力でもって凄惨なことも描かれるのできついこともあるし不穏さもすごい。特に好きなのは「生霊」「南部の鼻曲り」「影の人」「死亡通知」。読了日:06月02日 著者:久生十蘭

やつはみ喫茶読書会四十四冊目 『ジュラネスク』

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

 やつはみ喫茶読書会四十四冊目 久生十蘭『ジュラネスク』@半杓亭
 2017/06/11(日)開場10:00 開始10:20 終了12:00
 課題図書:久生十蘭『ジュラネスク 珠玉傑作集』河出文庫
 作品内容:「小説というものが、無から有を生ぜしめる一種の手品だとすれば、まさに久生十蘭の短篇こそ、それだという気がする」と澁澤龍彦が評した文体の魔術師・久生十蘭。人生の求道やら何やらを峻拒した彼の真骨頂を示す、絢爛豪華なめくるめく綺想の世界を堪能できる1冊です。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代1000円(この会でしか食べられない、おいしいブランチがでますよ~)
 定員:9名。要予約。開催の1週間前までにご連絡ください。定員に達した場合も告知いたします。定員に達しました。今回の参加募集は終了いたします。ありがとうございました。またキャンセルされる場合はなるべく早めにご連絡ください。当日キャンセルをされる場合はキャンセル料をいただきます。あらかじめご了承ください。
 連動企画:今回は、会場の半杓亭さんに隣接するお寺・瑞松寺さんの坐禅会と連動した企画になっています。午前8時より坐禅会を行い、終了後、午前10時より読書会を行います。ご注意ください。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comにお名前とご連絡先、過去に読書会に参加したことがあるか、坐禅会への出欠、およびアルコールの出る二次会の出欠を記載の上、ご連絡ください。
 Twitterやつはみ喫茶読書会 (@yatsuhamibook) | Twitter

 今回は8名の参加でした。うち2名が初参加のかたでした。坐禅会を終えての読書会――今回だけの豪華なブランチがついてくる会だったのでおいしいおいしいと食べるのに一生懸命で、前半を終え休憩の時点で2篇までしか話せておらず、後半がけっこう駆け足になってしまいました。ちょっと予想できておらず甘かったですね。特に「死亡通知」はこの短篇集のなかでいちばん長いものだったので、ここでもう少し時間を取れたらなぁと思いました。時間配分、気をつけていきたいですね。会そのものはむつかしい言い回しと構成とでどうだこうだと話題に困ることはなかったように思ったので比較的盛り上がったのではないでしょうか。最後にブランチの画像を貼っておきますね。

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5月の読書のまとめ

読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2429ページ


パーマネント神喜劇

パーマネント神喜劇

■パーマネント神喜劇
 プルーフで。神社の神様が人間社会における会社の査定制度みたいなシステムに翻弄され、その神様に翻弄される人間を描いたコメディ。切り取られる人生の細部にときたまはっとさせられる。読了日:05月30日 著者:万城目学


自生の夢

自生の夢

■自生の夢
 初出時にすべて読んでいたので実質再読。「自生の夢」に至っては4回目か。しかしこう並ぶとなるほど表題作を中心とした流れがきっちりとあることがわかっておもしろい。どの短篇もひとの手に負えない巨大で遠大なものを、その周囲を描くことで浮き上がらせようとしているように読める。そこに音楽、料理、誰かへの発破や追悼といったとっかかりが用意されているように思える。まあ思えるからってじゃあ読み解けるのかって言われれば別の問題だけれども。この多層さがやっぱりさすがだなぁと。読了日:05月24日 著者:飛浩隆


宝石の国(7)特装版 (プレミアムKC アフタヌーン)
 表紙、誰だよ!!とまあ冗談はともかく今回も謎は深まり金剛先生の示唆もあり着実に進展してますね。そしてフォスはついに大きな賭けに。にしても思考速度が上がって物語の展開スピードも上がったように思うのがおもしろい。イラスト集はコメンタリーがついている。読了日:05月23日 著者:市川 春子


あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

■あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
 映画「メッセージ」を観たので表題作「あなたの人生の物語」を再読してみた。完全に忘れていたし初読時の感想もここにはないのだけれど、語りとアイデアが完璧に乳化した傑作短篇だったんだなと。ぜんぜんわかってなかったんだなと。あと子どもの描写が、確実に加齢によって読み方が変わっていてめちゃくちゃグッとくるようになっていた。読了日:05月22日 著者:テッド・チャン


■捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター
 イルマ2、今回もおもしろかった! 東京湾上のガス井プラットフォームでのクローズド・サークルもの。というかそこまで孤立無援の状況を設定しないと、イルマがどんどん事件を解決してしまいそうなほど、優秀な警察官だとわかる1冊というか。副題のファイアスターターの意味が転じるのもよかった。読了日:05月16日 著者:結城充考


アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)
 今回は完全にイーガンのテーマでしたね。本人と他者での理解の差と、超越知性としての差がどういう風に描かれ着地していくのか。あとは蔵六とクロエとの出会いがどういう物語なのか、かな。読了日:05月15日 著者:今井哲也


まもって守護月天! 解封の章 1 (BLADE COMICS)
 10代の頃にどうにも恥ずかしくてこそこそ読んできゅんきゅんしていたマンガの続編。で、まさかいま読んでも顔が赤くなって恥ずかしくなるぐらい繊細な感情が描かれていて、(刷り込みもあるんだろうけれど)なんともすごいことだ。ストーリーは副題の通りに進むのだろうけれど翔子の考えにあるようにこれは悲恋にならざるを得ないのではなかろうか。あとそれとキリュウは出てこないのかな。再逢のほうを読んでいなかったので慌ててネットで情報をあさってしまったぜw 読了日:05月14日 著者:桜野みねね


■うどん キツネつきの (創元SF文庫)
 小出しにされる背景情報にどきどきさせられ、巨大な絵となるラストへとつながっていく描き方として「巨きなものの還る場所」がおもしろかった。不穏さでは「おやすみラジオ」が群を抜いていたように思う。「母なる島」は『NOVA6』のほうで読んだはずなのに完璧に忘れていて、なんか似たモチーフで書く人いるんだなぁと思っていたら同じ作品で同じ作者だったみたいな驚きを得られた(どうなんだそれ)。読了日:05月13日 著者:高山 羽根子


恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

■恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)
 もしかしてこれ……誰ともくっつかないパターンでは!? 次巻も楽しみだ。読了日:05月11日 著者:秋枝