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小説家志望の雑記です。

やつはみ喫茶読書会二十一冊目@半杓亭 山尾悠子『ラピスラズリ』

ラピスラズリ (ちくま文庫)

ラピスラズリ (ちくま文庫)

 やつはみ喫茶読書会二十一冊目『ラピスラズリ
 日時:2013/03/30(土)開場15:00 開始15:30 終了18:00*1
 課題図書:山尾悠子ラピスラズリちくま文庫
 作品内容:冬のあいだ眠り続ける宿命を持つ“冬眠者”たち。ある冬の日、一人眠りから覚めてしまった少女が出会ったのは、「定め」を忘れたゴーストで―『閑日』/秋、冬眠者の冬の館の棟開きの日。人形を届けにきた荷運びと使用人、冬眠者、ゴーストが絡み合い、引き起こされた騒動の顛末―『竃の秋』/イメージが紡ぐ、冬眠者と人形と、春の目覚めの物語。不世出の幻想小説家が、20年の沈黙を破り発表した連作長篇小説。
 場所:半杓亭
 費用:お茶おやつ代600円
 定員:12名。要予約。定員に達した場合も告知いたします。
 予約先:yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comにメールか、Twitterで@にリプライを!

 無事に終了しました。参加者は予約時点で12名、当日ドタキャンがありつつ飛び入りが1名なので最終的には12名でした。うち新規の方が3名。コンスタントに10名前後の方が参加してくださり、毎度たいへんありがたいですね。キャッチャーなタイトルで人を呼ばなくていいので、好きな小説で読書会ができますw
 今回のタイトル山尾悠子ラピスラズリ』はやはり皆さん、なかなか苦戦されたようでむつかしいという意見が多かったのですが、それと同じくらいすばらしいという意見も多く、その相反する感じがまたこの作品を表しているようにも思いました。また各々が作品から文章から受ける映像的イメージは確かに存在するけれど、それがまったく異なるのではないのか、どのモチーフに入れ込むのかでまったく違ったイメージをもって読んでいるのではないのかな、と思いました。
 以下、印象に残ったことを列挙していきます。参考までに。
・視覚的同時性に満ち満ちた文章:一文の中で描かれる内容が通常、人がものを見た時の感覚に近くなるように並べられて、非常に映像的である、と感じるのではないか。
・作品内時系列:「青金石」→「閑日」→「竈の秋」→「銅版」→「トビアス」ではないのかと思ったのだけれど、やはり「銅版」がひとつ高い位置にある方が全体を俯瞰するという意味でも話が循環するという意味でも収まりがよいのかなとも思った。
・季節の巡り:繰り返し描かれるのは冬の後の啓蟄の力強さであるということ。様々な宗教的モチーフが重ね描かれて「再生」が描かれている。
・「青金石」の天使降臨:作品全体を通してグレースケール、抑えた色味がこの短篇のラストで、視覚の移動がもたらすダイナミズムとともに、ひろがる青さにこれ以上ないカタルシスを得ることがきでた。

*1:アルコールの出る二次会もあります。お問い合わせ下さい。