すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『紫色のクオリア』うえお久光

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

 一部は苦行、二部も苦行。しかし二部の方が圧倒的におもしろい。実は正直に申し上げて一部の読みにくい百合描写に辟易して、一度読むのをやめ、積読しちゃってました。そうしたら昨年の文学フリマでカワジさんと平和さんに「実は読んでいない」って言ったらものすごい勢いで「読まなきゃダメ!!」って叱られてしまったので、今回重い腰を上げて読んでみたのでした。しかし辛いことに変わりはなかったので一部は軽く流し流し読んでいたら終わり近くになってなるほど、と頷くような展開になり、そして第二部に入って確かに「さーせんっした!」って思いました。
 そうなのです、本番は二部から。ケータイをキーに目も覚めるような量子論SFお得意のトライ&エラーが繰り返される。このあたりの繰り返しがケン・グリムウッドの『リプレイ』を思い出して、たまらない快感になってくる。うんすごかった。本気を出してセカイを構築しにかかる主人公のトライもよかったし、何度も繰り返される「光のように」という表現も切実さがあってよかったです。ただ、セカイの謎ではなく友人のため、というのが非常にゼロ年代的だな、と思ったのですがライトノベルからメタSFものが出てきたこと、それが売れて読まれていることはかなりすごいことかと思いました。いや売れているのは百合だからなのかもしれませんが。