すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

テッド・チャン『あなたの人生の物語』

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

 アカシックレコード。表題作の『あなたの人生の物語』を読んでいてこの単語を想起した。『惑星のさみだれ』のせいかな。ガジェットとドラマががっちりと手を組んでいる表題作は、確かに小説を読んだぞ!と叫びたくなるような完成度だった。『理解』のスーパークリティカル、その目的による仲違いというのもおもしろかった。

[自分は聖人だと主張する気はない]
 ただの救世主というわけか。

 ここが最高。びりびりしびれた。
「顔の美醜について――ドキュメンタリー」は、あるひとつの最先端科学技術がどのように人々の中に浸透し、反発し、文化へと結びついていくのか、そのすばらしいシュミレーションだった。俺自身、やはりそういった科学技術そのものの進歩よりも、どうのように人類へと受け入れられていくのか、というのがおもしろいと感じている。その意味でやっぱり人間に興味があるんだな。ストリートビューそのものよりも、それにどんな反応を人々が示すのか、という感じ。うむ、SFを使って人間がどんな風になるのか。なるほど、そういうことか…だんだんわかってきた。