ブックスエコーロケーション

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自作解題

 この作品はハヤカワ・ロボットSFショートショート・コンテストに送ったものだ。結果は1次選考突破2次選考落選だった。なのでS-Fマガジン 2007年 12月号 [雑誌]にいちおう名前と作品タイトルが掲載された。


 そう、最後まで読んでもらえればわかるが、ロボットは一体も出てこない。それでは、ダメだと思う。しかしこの作品を書いているときは、それが最善の手段であるとおれは信じて疑ってもいなかった。

 恥ずかしながら、まっとうなSF/ハードSF/本格SFは書けないと、はなから腹を括っていた/諦めていたので、とりあえずライトノベルの延長線上にある、リアル・フィクションと呼ばれているムーブメントの、その路線を走ってみようと思って書いた。しかしこれはもうこうばしい匂いが漂ってくるような、それでもおれにとってはただのライトノベルを書くよりかはなんぼもマシで、かつおもしろいものだと信じていたような、ある種の信仰の対象のようなものだった。だからこその『スーサイド・ヒューマンズ』なわけだし、つまりSF青春エンタという表現こそがもっとも適当ではないか、とも思う。いや、そのあたりはホーンさんが言っていて、ああそうなのかな、と思って使わせてもらっているのだけれど。

 そして読めばわかるように、そのリアル・フィクションの作品からの引用、というか抜粋というか、そういう言葉が随所に散りばめられている。たぶん早川の編集部には、そうおそらく、痛々しくうつっただろう。「おれはこんだけ、小説読んでますよ」閉塞したオタクの、もっとも唾棄すべき自己主張だ。その痛々しさが、青春小説としての色をも、薄めている、とおれは思う。

 もちろん構造的な欠陥もあるだろう。
 しかしながら、どう考えても「ハズして書いて、佳作ぐらいもらえんかな」という態度が、作品に反映されてしまっている。それが最大のミスであり、この作品に対してひどく申し訳ないことをしてしまったのではないのかと、いまさらながらに思っている。