観た。
作画のブラッシュアップ、ただのダイジェスト版とは違う丁寧なカットバック、ゼーレのシナリオ通りにすすんでいるように提示される人類補完計画、決戦要塞都市・第三新東京市の迎撃ギミック、使徒、特にラミエルのとてつもないキモさ、弾けた時の血の色、ヤシマ作戦への盛り上がり。などなど。
とてもわかりやすくなっていて、それだけで好感触。
でも、露骨なミサトさんやレイやシンジくんやカヲルのセックス・アピールを見せられるにつけ、古臭さと、いまだあらゆるコンテンツで再生産され消費され続けるキャラクターの、どうにもならない劣化をかいま見、それでいてそれを気にせず受容し続けられる消費者に、言いようもない薄気味悪さを感じる。まぁもう、12年ですからね。
まぁこれも……伊藤計劃のパクりですが。
で、一番よかったのは伏線としての「月」がきちんと生かされ、かつすでにアスカよりも先にカヲルが月面上で目覚める描写がなされ、それがゼーレによるものであると直截的に描かれること。目覚めたカヲルが「また○○○チルドレンか」といったこと。「また」つまり彼はこの世界が何度目かのうちのひとつであると、認識している。このセリフにはシナリオを描いたゼーレ=庵野監督の視点、メタ視点の介入がわかる。つまりテレビシリーズの最終回の平行世界/一過性ではない可能世界を生きるキャラクターたちになんらかの終止符を打つための伏線ではないのかと。まぁ『ぼくらの』とか『SRE』とか『ディスコ探偵』のような話にならなければいいのだけれど。。。
そして次回予告がふるっていて、零号機から六号機までが登場し、だれが乗るかを簡単に説明、むしろ扇動。つまり新型エヴァや新キャラのカットが流され、壊れ続けるシンジくんの話になるというもの。
この映画の最大の見せ場はこの次回予告にあるのでは、とも思った。消費し尽くされているキャラクターたちへのカンフル剤として今回投入された「すべて」が、次回からきちんと爆発してくれるのでは、とかなりの期待が持てる予告編だった。
まぁ、新しいものを見せてくれるのではという期待は、すでにあるものを見て安心する作業とは違って、どきどきするからいいよね。
とも、思うが、エヴァ体験を共有するということは結局、おれたちはどうしようもなくわけのわからないものを「知っているんだぜ」という感覚を後生大事に再生産していくことに他ならないのでは、とも思って身動きがとれなくなる。
この頃、労働と小説の間でそんな感じなので、気がついた瞬間、猛烈に情けなくなった。