すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

やつはみ喫茶読書会四十四冊目 『ジュラネスク』

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)

 やつはみ喫茶読書会四十四冊目 久生十蘭『ジュラネスク』@半杓亭
 2017/06/11(日)開場10:00 開始10:20 終了12:00
 課題図書:久生十蘭『ジュラネスク 珠玉傑作集』河出文庫
 作品内容:「小説というものが、無から有を生ぜしめる一種の手品だとすれば、まさに久生十蘭の短篇こそ、それだという気がする」と澁澤龍彦が評した文体の魔術師・久生十蘭。人生の求道やら何やらを峻拒した彼の真骨頂を示す、絢爛豪華なめくるめく綺想の世界を堪能できる1冊です。
 場所:半杓亭
 参加費:お茶おやつ代1000円(この会でしか食べられない、おいしいブランチがでますよ~)
 定員:9名。要予約。開催の1週間前までにご連絡ください。定員に達した場合も告知いたします。定員に達しました。今回の参加募集は終了いたします。ありがとうございました。またキャンセルされる場合はなるべく早めにご連絡ください。当日キャンセルをされる場合はキャンセル料をいただきます。あらかじめご了承ください。
 連動企画:今回は、会場の半杓亭さんに隣接するお寺・瑞松寺さんの坐禅会と連動した企画になっています。午前8時より坐禅会を行い、終了後、午前10時より読書会を行います。ご注意ください。
 予約先:初めて参加されるかたは、yatsuhamicafe.reading(at)gmail.comにお名前とご連絡先、過去に読書会に参加したことがあるか、坐禅会への出欠、およびアルコールの出る二次会の出欠を記載の上、ご連絡ください。
 Twitterやつはみ喫茶読書会 (@yatsuhamibook) | Twitter

 今回は8名の参加でした。うち2名が初参加のかたでした。坐禅会を終えての読書会――今回だけの豪華なブランチがついてくる会だったのでおいしいおいしいと食べるのに一生懸命で、前半を終え休憩の時点で2篇までしか話せておらず、後半がけっこう駆け足になってしまいました。ちょっと予想できておらず甘かったですね。特に「死亡通知」はこの短篇集のなかでいちばん長いものだったので、ここでもう少し時間を取れたらなぁと思いました。時間配分、気をつけていきたいですね。会そのものはむつかしい言い回しと構成とでどうだこうだと話題に困ることはなかったように思ったので比較的盛り上がったのではないでしょうか。最後にブランチの画像を貼っておきますね。

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5月の読書のまとめ

読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2429ページ


パーマネント神喜劇

パーマネント神喜劇

■パーマネント神喜劇
 プルーフで。神社の神様が人間社会における会社の査定制度みたいなシステムに翻弄され、その神様に翻弄される人間を描いたコメディ。切り取られる人生の細部にときたまはっとさせられる。読了日:05月30日 著者:万城目学


自生の夢

自生の夢

■自生の夢
 初出時にすべて読んでいたので実質再読。「自生の夢」に至っては4回目か。しかしこう並ぶとなるほど表題作を中心とした流れがきっちりとあることがわかっておもしろい。どの短篇もひとの手に負えない巨大で遠大なものを、その周囲を描くことで浮き上がらせようとしているように読める。そこに音楽、料理、誰かへの発破や追悼といったとっかかりが用意されているように思える。まあ思えるからってじゃあ読み解けるのかって言われれば別の問題だけれども。この多層さがやっぱりさすがだなぁと。読了日:05月24日 著者:飛浩隆


宝石の国(7)特装版 (プレミアムKC アフタヌーン)
 表紙、誰だよ!!とまあ冗談はともかく今回も謎は深まり金剛先生の示唆もあり着実に進展してますね。そしてフォスはついに大きな賭けに。にしても思考速度が上がって物語の展開スピードも上がったように思うのがおもしろい。イラスト集はコメンタリーがついている。読了日:05月23日 著者:市川 春子


あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

■あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
 映画「メッセージ」を観たので表題作「あなたの人生の物語」を再読してみた。完全に忘れていたし初読時の感想もここにはないのだけれど、語りとアイデアが完璧に乳化した傑作短篇だったんだなと。ぜんぜんわかってなかったんだなと。あと子どもの描写が、確実に加齢によって読み方が変わっていてめちゃくちゃグッとくるようになっていた。読了日:05月22日 著者:テッド・チャン


■捜査一課殺人班イルマ ファイアスターター
 イルマ2、今回もおもしろかった! 東京湾上のガス井プラットフォームでのクローズド・サークルもの。というかそこまで孤立無援の状況を設定しないと、イルマがどんどん事件を解決してしまいそうなほど、優秀な警察官だとわかる1冊というか。副題のファイアスターターの意味が転じるのもよかった。読了日:05月16日 著者:結城充考


アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)
 今回は完全にイーガンのテーマでしたね。本人と他者での理解の差と、超越知性としての差がどういう風に描かれ着地していくのか。あとは蔵六とクロエとの出会いがどういう物語なのか、かな。読了日:05月15日 著者:今井哲也


まもって守護月天! 解封の章 1 (BLADE COMICS)
 10代の頃にどうにも恥ずかしくてこそこそ読んできゅんきゅんしていたマンガの続編。で、まさかいま読んでも顔が赤くなって恥ずかしくなるぐらい繊細な感情が描かれていて、(刷り込みもあるんだろうけれど)なんともすごいことだ。ストーリーは副題の通りに進むのだろうけれど翔子の考えにあるようにこれは悲恋にならざるを得ないのではなかろうか。あとそれとキリュウは出てこないのかな。再逢のほうを読んでいなかったので慌ててネットで情報をあさってしまったぜw 読了日:05月14日 著者:桜野みねね


■うどん キツネつきの (創元SF文庫)
 小出しにされる背景情報にどきどきさせられ、巨大な絵となるラストへとつながっていく描き方として「巨きなものの還る場所」がおもしろかった。不穏さでは「おやすみラジオ」が群を抜いていたように思う。「母なる島」は『NOVA6』のほうで読んだはずなのに完璧に忘れていて、なんか似たモチーフで書く人いるんだなぁと思っていたら同じ作品で同じ作者だったみたいな驚きを得られた(どうなんだそれ)。読了日:05月13日 著者:高山 羽根子


恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

■恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)
 もしかしてこれ……誰ともくっつかないパターンでは!? 次巻も楽しみだ。読了日:05月11日 著者:秋枝

4月の読書のまとめ

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2048ページ


WOMBS(1) (IKKI COMIX)

WOMBS(1) (IKKI COMIX)

■WOMBS 1 (IKKI COMIX)
 異星体との戦争において、切り札として運用される転送器官を子宮に宿した女性兵士の物語。訓練シーンを軸にじっくりと世界を説明している。読了日:04月24日 著者:白井弓子


■あとは野となれ大和撫子
 宮内悠介のすべてがここにある。いままで培われてきたものがすべて投入されているから、彼の既刊を読んでいると泣けて仕方がない。それでいてあらゆる要素がバラバラではなく有機的につながっていてストーリーは加速度的に盛り上がっていく。ナツキ、アイシャ、ジャミラ、イーゴリや東洋人観光客(!)まで含め、魅力的なキャラクターたちがほんとうに愛おしい。読み終えて人物紹介表を見直すと、彼女たちが表情を伴って生き生きと立ち上がってくる。寄る辺のなさと現状の過酷さ、そこに立ち向かっていく強さが輝いている。ああ、読めてよかった。読了日:04月24日 著者:宮内悠介


三つの悪夢と階段室の女王

三つの悪夢と階段室の女王

■三つの悪夢または階段室の女王
 新人作家とはいえ、作者より頭のいいキャラクターは描けない、という限界によって思考停止キャラがドツボにハマっていく展開が繰り返され、食傷気味になった。読了日:04月23日 著者:増田忠則


ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンKC)
 なんかどうしたって戦に巻き込まなければならない、という流れのなかで、もしかするといままでもっとも強敵ではないのか、ガルム。トルケルの若い頃のようだ、という感想を読んで納得した。ヴァイキング戦士のひとつの究極なのだな。読了日:04月21日 著者:幸村誠


■暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界
 警察小説の文脈と文学的アプローチとの境界さ具合がよくわかった。読了日:04月21日


ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

■ダイナー (ポプラ文庫)
 徹夜で一気読み。無国籍な空気と殺し屋たちのリアリティがどこまでも濃密でとてもおもしろかった。読者を殺しにかかってくる、一本筋の通った快作だった。映画のイベントで来松された際にサインを頂く。読了日:04月19日 著者:平山夢明


ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ

ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ

ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ
 あまりこういう読み方はよくないのだろうけれど、ゴーストの登場が必ず教訓をともなう警告であったり、昼は人の世界であり、夜はゴーストの世界であるとか、俗信と精霊の世界が日常の隣り合わせになっている。そういうのはやっぱり共通するというか物語の元型を意識させられる読書だった。読了日:04月18日 訳者:飯沢耕太郎


Fate/Grand Order カルデアエース

Fate/Grand Order カルデアエース

Fate/Grand Order カルデアエース
 座談会も、各章を補完する資料集もよかったが、完全に不意打ちだったロマンとマシュの前日譚コミック「さよならスクラップ」にやられた。「カルデアごはん」もさすがのおもしろさだった。読了日:04月13日


最後にして最初のアイドル

最後にして最初のアイドル

■最後にして最初のアイドル
 アイドル文化に染まった視点が通底した、ワイドスクリーンバロック。このふたつを合わせようと思った時点で、この作品の勝利は決まったようなものだろうなぁと思わせられた。読了日:04月06日 著者:草野原々


エクス・ポ・ブックス1 フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)

エクス・ポ・ブックス1 フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)

■フルカワヒデオスピークス! (エクス・ポ・ブックス 1)
 ずいぶん昔に買ってからパート2まで読んで塩漬けにしていたものを、いまパート3「言葉」から読む。読んでやはりここから始めに読めばよかったと思った。特に和合亮一との対談では「自分のためではなく詩のために詩を書く」という「わたくし性」がなくなった先の「小説のために小説を書く」という書き方を教示されたように思った。読了日:04月06日 著者:古川日出男