ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

10月のまとめ

読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1236ページ

バーナード嬢曰く。 3 (IDコミックス REXコミックス)
『氷』というか、ちくま文庫へのセルフツッコミは声出して笑った。あとは『ゼンデギ』の話、そうかーぼくは好きなんだけど確かにSFファンのなかではイーガンが書く必要がないって言われたもんなぁというのを思い出した。それとエッセイというかコラムがすごく面白いんだよ、なんかね。読了日:10月31日 著者:施川ユウキ


幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)

幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)

■幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)
 コミックitの連載から遡ってみた。なにも起きない、けれど水面下でゆれ動くものをすくい取っていて、ああそういえばこういうことを考えていたよな、と思わせてくれるマンガだった。特にあるていどの長さのある書店員と先生の話は顕著だったように思う。読めてよかった。読了日:10月23日 著者:黒谷知也


プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)

プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)

■プリンセスメゾン 3 (ビッグコミックス)
「どうせ死んでいく身やし、好きに生きたらええのよ」すっと背中を押されるような、なにかがほどけるような、そういう気持ちになるマンガです。は~、いいなぁ。読了日:10月22日 著者:池辺葵


四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

■四月になれば彼女は
 読むのが大変苦痛だった。空虚な表現で説明過多。テーマは会話文で露骨に繰り返し語られ、そこに思考や思索がないので読者に押しつけられるだけ。細部も、いま受けそうなものをとりあえず入れてみた、というただの書割だった。村上春樹エピゴーネン。せっかくなので舞城王太郎を読んで出直してきて欲しい。ま、でも本屋大賞候補は固いんでしょうけど。帯コメントなんか新海誠星野源だしなぁ。約束されたベストセラーってやつ。読了日:10月21日 著者:川村元気


■ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)
 あー!ほんと傑作だ。異人種の男女の視点が交互に描かれることで、よくも悪くもお互いを勘違いして、そのすれ違いや評価の変化がよくわかって、彼らのどきどきがとてもおもしろい。何よりもまだ高校生であり、これからも人生が続いていくことによる尻切れトンボ感がまたいいんだよなぁ。読了日:10月4日 著者:石川博品


終の住処

終の住処

■終の住処
 警句のようなそうでないような。とにかく文章の圧に圧倒されるけれど、すらすらと読めてしまう不思議。時間の流れ方がおもしろく、彼の主観を描いてあって見事だと思った。読了日:10月3日 著者:磯崎憲一郎

トム・ジョーンズ 舞城王太郎訳『コールド・スナップ』

じっと待ってることができれば、全ての悪いことがちゃんと通り過ぎるのだ。鬱の最中にはそういうことを忘れてしまうので、その三日間の開放のうちに俺は冷蔵庫のドアにメモを貼っておく。「リチャード、お前は善良で、愛にあふれた人間なんだ。悪いことも全部、ちゃんと通り過ぎてしまうんだ。次にまた落ち込んで自分がこれまでずーっと落ち込んで来たしこれからもずーっと落ち込んでいくんだと思ったときには、そういうのを思い出せよ。お前の考えなんて妄想に過ぎないし、そんなことでうじうじしててもどうしようもないんだぜ。お前は単にお前特有のフョードル・ドストエフスキー的感傷にはまってるだけなんだ。いいからお前自身のためにそんなの忘れちまえ!」

R.I.P.

9月のまとめ

読んだ本の数:14冊
読んだページ数:2825ページ

本の雑誌389号

本の雑誌389号

本の雑誌389号
 いまさらながらに。ダブルI編集者対談にて「現在進行形のテクノロジーと人間の関係を正面から扱うことで人間の本質を今風に問う(中略)彼が象徴となるような問いの立て方みたいなのがあって」という下りに首をぶんぶん縦に振った。あとはSFベストを決めるときの神林長平の扱いに笑った。読了日:9月27日


こちら文学少女になります

こちら文学少女になります

■こちら文学少女になります
 新米マンガ編集者となってしまった文学少女が奮闘するエンタメ小説。マンガ編集あるあると笑えるネタもあるし、熱く泣けるシーンもあって総じて高水準。ただトラウマが弱く感じてしまうのはあっさり読める筆致が裏目に出てしまっているのではないか。覆面漫画家の動機も弱い……とここまで書いて、いやこういうタイプの小説にはそういう重さは必要ないのか、と気がついた。読了日:9月26日 著者:小嶋陽太郎


小説家という職業 (集英社新書)

小説家という職業 (集英社新書)

■小説家という職業 (集英社新書)
 けっこう色々な小説指南本を読んできたと思っているけれど、特に今回強く思ったのは、小説指南本にもレベルの高低があって、この新書はいまのぼくにはちょうどよくて、たぶん去年のうんうん唸ってた頃のぼくにはまだむつかしかったろうなぁということ。ロジカルに理想を語ることの気持ちよさが満ちていた。読了日:9月26日 著者:森博嗣


昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)(KCx)
 最終話の、与太郎の貫禄といい凄みといい、マンガっていうのはこうも表現できるんだなぁと感慨深くなった。いいね、かっこよかったし、おもしろかったなぁ。読了日:9月26日 著者:雲田はるこ


宝石の国(6) (アフタヌーンKC)

宝石の国(6) (アフタヌーンKC)

宝石の国(6) (アフタヌーンKC)
 ふぉ、フォスーッ!!!という展開。敵味方新キャラ入り乱れている。小出しにされる背景情報がいまだに推理を拒んでいて、これはいったいどうなるんだろうなぁ。読了日:9月23日 著者:市川春子


■ノックス・マシン (角川文庫)
 読書会用。うち2篇は別アンソロジーにて既読。どれもミステリ的な遊びにあふれた奇想ミステリ。SF的な設定というよりも、アングロサクソン探偵小説の読解のために量子力学を引っ張り出してきたような、ソーカライズさが目立つように思った。そういう細部のわちゃわちゃした感じが本筋の弱さを補強していると言える、のかなぁ。読了日:9月22日 著者:法月綸太郎


恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)

■恋は光 5 (ヤングジャンプコミックス)
 宿木さんのリタイアで状況が変化しつつある。でもぼくはやっぱり北代推しですわ!読了日:9月16日 著者:秋枝


■NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
 そうかこれ2014年だったか……。ようやく読み終える。表題作にもなっている長谷敏司「バベル」がいちばんテーマもモチーフも先鋭的で現代的なSFで批評性も高く、大好きだった。藤井太洋「ノー・パラドクス」もすごく現代的に時間SFをアップデートしてあってすごいけどちょっと好みからは外れてしまうのがおもしろかった。ほか酉島伝法「奏で手のヌフレツン」も異形と、その背後に透けて見える設定がしっかりとあってよかった。円城塔「Φ」も技巧的に凝っていてさすがの短篇だった。読了日:9月13日 著者:宮部みゆき,月村了衛,藤井太洋,宮内悠介,野崎まど,酉島伝法,長谷敏司,円城塔


BLUE GIANT 9 (ビッグコミックススペシャル)
 まぶしいものを見るように読んでいる。読了日:9月10日 著者:石塚真一


少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)
 あんまり小汚く描かれないところが終末世界ものなのに読みやすくていいです。読了日:9月10日 著者:つくみず


ハルシオン・ランチ (アフタヌーンKC)
 嘔吐系SF。沙村さんのフェティッシュが前面に打ち出された宇宙SF。ほんとうです、宇宙SFなんですよ。ラストの壮大さにびっくりした。おもしろかった~。読了日:9月5日 著者:沙村広明


外天楼 (KCデラックス)

外天楼 (KCデラックス)

■外天楼 (KCデラックス)
 まさかこんなにミステリでSFだったとは。噂に違わぬおもしろさだった。読了日:9月4日 著者:石黒正数


■WIRED VOL.19 (GQ JAPAN 2015年12月号増刊) /特集 ことばの未来
 円城塔と宮内悠介、カズオ・イシグロのインタビューを中心にディープラーニングについて読んだ。というかメインのインタビュー記事、Webでも読めるのか……。でもまさか、1番最後に読んだモデュレーターの話が、特に鮮烈だった。読了日:9月3日