すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『天象儀の星』秋山完

天象儀の星 (ソノラマ文庫)

天象儀の星 (ソノラマ文庫)

 シアトルでハイスクールに通う「ぼく」は、天文雑誌のホームページで知り合った女子大生・佐野真弓に会うため、日本を訪れた――彼女が「ぼく」の探しつづけている不思議な星座を知っているというからだ。真弓から、約束の時間に遅れるとの伝言を受け取った「ぼく」は待ち合わせの間に、真弓の勧めで町のプラネタリウムに立ち寄った。そのとき映し出された星空は――!?
 なつかしき未来/ノスタルジック・フューチャーの語り部が贈る、珠玉の短編集。

 Rさまから学生の頃にいただいた本でいまさらようやく読了。ありがとうございました。
 表題作の「天象儀の星」サイバーパンク「まじりけのない光」、宇宙でやる意味が?と首をかしげたらなるほどとなった「ミューズの額縁」、前提条件の弱いファンタジー「王女さまの砂糖菓子」、そして異星SFとしても言葉の遣い方もすばらしい出来の「光響祭」の5作が収録されている。また補遺という年表によってすべてがひとつの時間軸のなかで並べられ、他の作品とも関係していることがわかるようになっている。
 また魂とか神とかをバイオテクノロジで説明しようとしている感じがあり、それが90年代だったなぁと。ああこういうやり方流行ったよね、というか。なので他の短篇はノスタルジック・フューチャーというかクラシックにはまだまだ遠く、その点、物語下に強固なロジックが格納されているように読める「光響祭」はきっと劣化をまぬがれるだろうなと思ったのでした。飛浩隆「蜘蛛の王」や神林長平『ルナティカン』のような異星SFとして、その世界を垣間見るわくわくを感じられたしなにより文章と構成が一番しっかりしていたのがよかったのだと思います。