すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『ボーイズ・オン・ザ・ラン』


 この映画はマイナスがゼロになる物語でした。爽快感とは大きな溝があります。しかしだからこそ「いい映画だった」と言えるような、そういうラストに仕上がっているように思えました。
 主人公「田西」はどうしようもなく独りよがりで、エネルギーが行き場を失ってずいぶん空回りしているような、そういう男の子なのですが、彼は好きになった女の子「ちはる」のために「青山」を殴りに行きます。そう見えるように描かれていますが、おれは「田西」のための映画なのだから、「田西」がマイナスからゼロへとなるための映画なのだから、結果そのものよりもその行為そのものを賞賛しなければいけないように思ったのです。だから「田西」がトレーニングとも言えないような全力疾走で、「おれ、ぜんぜんダメだ」と肩で息をしながらうめくシーンが、実はこの映画のもっとも輝かしく美しいシーンなのです。ここで彼は初めて自分がどんな場所にいるのか向きあうことに成功したからです。
 こういう文章を書いていると、けっきょく全部、自分に跳ね返ってくる、そう思わせられる映画でした。わかっていることわかりきっているからこそ描かれなければならない映画でした。その詩的な部分も含め、まさに日本の男の子のための『ファイト・クラブ』といった感じです。ただ確かに「田西」はちっともカッコ良くないし、とてもみじめで見てられないのですが、「こういう状況になったらこうありたい」という部分が強調されて描かれていて、思索的/試験的な感じがあってそれが、あーでもやっぱフィクションだよな、という留保、というか「はい、じゃあここから君は、見ている君はどうすんの?」という部分にまで迫ってこない、というか、いやまぁフィクションに療養を求めても仕方がないのだろうけれど……。うーんまとまりがなくなってきたのでとりあえず銀杏BOYZの「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を貼って終わりにします。


 さて、なんと次は600日目にあたります。なんか記念的なことをやりたいのですが思いつきません。まぁここは素直に小説でも書きましょうか。