ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

hon・nin vol.3

hon-nin vol.03

hon-nin vol.03

 読むとこ多くて、ほんと久しぶりに「雑誌」読んだなぁってなった。
 妙に「青春小説」が多くて、いまだ青年期を脱出していない人向けの雑誌なのかしらん、と思う。
 麻生久美子さんのインタビューは『アイデン&ティティ』の「マザー」的なイメージしかなかったからめちゃめちゃびっくりした。とんでもない適当ぶりだなぁ…。
 みうらじゅんさんの日記は、まじめに、うらやましい生活だなぁ、と思ったね。
 峯田和伸の『あいどんわなだい』は、脇の甘い文章も多々あったけれど、思ったよりも丹精で、実に散文詩的で、それでもちゃんと小説のバランスを保っていたので、びっくりした。ずらすところはきちっとずらして、笑いもとる。読んでいて拙作『アンタレス〜』を思い出したのはここだけの秘密だ。
 古川日出男の『叱れフルカワヒデオ叱れ』はなんつうか、まずスマートな小説だった。モチーフのリンクとか、最近の著作では一番わかりやすいし、自身のスタンスにどっぷりはまっている読者(おれ)へのサービスも忘れない、とてもわかりやすい小説。だから、構造そのものは峯田さんのと比較しても変わらないぐらいとっても単純なのだけれど、ヒロインの「飛鳥ちゃん」が圧倒的にかわいくて、つーかむしろおれ好みの女の子で、あんなにセックスアピールしてるのも、珍しいんでねぇの古川日出男、と思う。あとたぶんなのだけれど、インタビュー形式/探偵小説って形式を採用してるってのはおそらく…仲俣暁生への解答ではないのか、と思ってしまった。ほら、作中の「フルカワヒデオ」が言うんだ。「あいかわらず私は青年期を脱していない、とも言える。」ってね。これは青春小説ですよぉーって。自問自答が多いのも、なんだか気になるな。

読めばわかる。そういうことだ。私は喧嘩を売られるのが嫌いだ。しかし喧嘩を売られたらちゃんと夜道で襲う。背後から奇襲をかけて一発でしとめる。私はそういう作家だ。そういう人間である前にだ。

引用:『叱れフルカワヒデオ叱れ』