すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『夏化粧』

夏化粧 (文春文庫)

夏化粧 (文春文庫)

 産婆のオバァのまじないによって姿を見えなくされてしまった愛する息子。未婚の母、津奈美は命をかけて井戸に飛び込み、“陰”の世界へと向かう。他の人間にかけられた「七つの願い」を奪うことで、息子の姿を取り戻すのだ……。美しい島の自然を背景に、若き母親の一途で壮絶な愛を描いた、ファンタジーの傑作。

 もし仮に、作品に対して必ず言わなければならないことがあるとしたら、この作品に関してそれは、巻末の北上次郎の解説を読めばいいのです。だから正直この作品に関してKAUSKAが一番おもしろくてすごいと思ったところと同じところを、北上次郎が指摘していてあー何を言えばいいのかしら、といった感じです(笑)。
 池上永一マジックリアリズム的な手法によって(便利な言葉だ)、沖縄の風土と空気感の中を誇張されたキャラクターが凄絶で清冽な輝きを放つ、珠玉のファンタジー小説。「沖縄」を消費するなら、「カフー」なんか待たずにこれを読め!って感じですな\(◎o◎)/
 でも、物語としてはきちんと収束しているから、『レキオス (角川文庫)』や『シャングリ・ラ』のような破天荒な物語を期待すると肩透かしを食らうかも(笑)。でも表紙とあいまって本当に「きれい」な物語です。まぁ通底する熱さは相も変わらず本物だけれど。いやだって「津奈美」はこんなことが言える人ですからねぇ、すげぇや。

 寂しさでマスターベーションするようなヤワな男になってほしくない。寂しさと暇は同根だ。暇だと思える人は、取りあえず活動する。寂しいと思う人は、人の愛情を掠め取ろうとする。この差は想像力の有無だ。
 だったら裕司には大きな想像力を得てほしい、と津奈美は願った。孤独の中に楽しみを見つけられるほど心に余裕を持ってほしい。ややもするとそれは、オタクの楽しみだったり、ひきこもりの偏執狂になるかもしれない。寂しいよりはマシかもしれないが、いくらなんでもレベルが低すぎる。楽しみを人とわかちあえる想像力でなければ意味がない。

 いや、肝に銘じておきましょう。