ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

「神林長平+新世代作家トークショー」

アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風

アンブロークンアロー―戦闘妖精・雪風

神林長平氏デビュー30周年記念イベント第二弾
神林長平+新世代作家トークショー」
2009年9月6日(日)(開場12:30〜)
 一部 13:00〜14:00
 二部 14:15〜15:15
会場:青山ブックセンター本店内 カルチャーサロン青山
出演:神林長平円城塔桜坂洋辻村深月
http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200909/30200996.html

 行ってきました。渋谷でid:Siphonさんと合流して、青山ブックセンターまで連れて行ってもらう。なお開場前行列がけっこうな数のついったらーで構成されていることがTLより明らかになる。なお残念ながら実況している暇はありませんでした。とりあえす簡易版です。敬称略! 余裕があるときに徐々に充実させられたらと思います。というかいずれまたSFマガジンに収録されそうな気も……。

  • 一部

 司会は前島賢で、円城塔(エ)、桜坂洋(サ)、辻村深月(ツ)が登壇。神林長平との馴れ初めからどのような影響を受けたのかを語り、11月発売の神林長平トリビュート本(初公開情報)でどの作品を選んだのか、そして第2部で神林長平にどんな質問をしてみたいのかという流れでした。
 印象に残ったことを優先的に列記していくと、円城塔の「SFとかそういうことではなくて神林長平というジャンル」や「オレだけが一番神林長平のことをわかっている」という「オレ神林」発言、桜坂洋の「機械に対するアプローチが真摯で、深いところでしっかり捉えている」であったり、辻村深月の「予定調和的でない登場人物の解放を目指すところ」などでした。

  • 二部

 休憩を挟んで、神林長平の登壇。神林チルドレンの存在について「これが作家をやっている楽しみなんだろうなぁ」というのと「望外の喜び」とのこと。また30年を振り返って「つなわたりのような歩み」でありなにより「みなさんのために書いたつもりはない。人のために書くような大それたことはできない。自己救済のために書いてきた」とのこと。最初からわかりきっていることは書けない。小説を問題解決のための装置として、自己を救うために使っている。もちろん神林長平の小説を読んで救われたと思う読者もいるだろうし、たぶんおれもそのひとりで、つまり、ついでにぼくたちも救われている。神林ルーチンを獲得するとテレビドラマでは泣けなくなってしまうにも関わらず多くの人を救う力を、普遍性を持ちえているのだなぁ、それが神林長平の徹底した思索と思考の先に小説として構築されているからなんだろうな、と再認識した。
 また『膚(はだえ)の下』をして、「これから存在するだろう、機械知性のための聖書になるような小説を目指して書いた」とおっしゃられて鳥肌がたった。うおおおおれが最初に読んだときにどんだけこの作品に「生き延びる方法を学んだのか!」と思い出して「ああおれってやっぱり人間世界からずれてたんだな」と苦笑した。
 2時間があっという間の、とても濃密で笑いの絶えない楽しいトークショーでした。行きのバスの中で今月号のSFマガジンを読んでいたのも、副読本的な意味で大きかったなと思いました。

  • サイン会後

 それまでぽつぽつとTwitterのほうにポストしていて、なんとか他にいるついったらーに認識してもらいたく「迷彩パンツのボンクラ男子です」とかやっていたら、サインをいただいてid:Siphonさんとよかったですねぇと雑談しながら歩いていると円城塔氏が立っていたのでおじきしたら「KASUKAさんですよね?迷彩パンツの」と捕捉される。エンゲージ。id:Siphonさんが「円城先生はサイン会しないんですか?」とか訊いていると「KASUKAさんですよね?」と扇子をもったメガネの青年に声をかけられる。ばなな (@cydonianbanana) | Twitterさんであることが判明。その瞬間、メガネのついったらーが4人、並び立ったのであった。
 あとハヤカワ・ロボットSFセミナーのときに伊藤計劃に取り次いでいただいた方がいらっしゃって「あの時はありがとうございました」と挨拶にうかがったら「KASUKAさんですよね、ブログ読んでますよ」とおっしゃられてまさに望外でした。
 そのあとid:Siphonさんとブックファースト新宿店、ジュンク堂新宿店、コミックZIN新宿店と書店巡りをし、ベルクでふたりのオレ神林が熱い闘いを繰り広げたのでした。

 

S-Fマガジン 2009年 10月号 [雑誌]

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