- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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暴力団員の黒羽組の藤堂惣一郎は少年を車で轢いてしまう。
明らかに死に至る事故。しかし少年は無傷で、記憶を失っていた。
そのまま男の家で暮らすようになったその妖しいほどに美しい少年に、男は「穂」という名を与える。
やがて少年の背に彫られた両目がない美しい無明龍の入れ墨に導かれるように、藤堂は彼の出自を辿り始めるが。不思議な力を持ち、世界に贖われた存在―少年と男の再生の物語。
『マルドゥック・スクランブル』の冲方丁、珠玉のデビュー作。
表と裏と、陽と陰。
それを描くための「暴力団員」と「陰陽道」というモチーフ。
なによりも首尾一貫して、このデビュー作より「闘うことの意味」を問い続けているようで、すげぇな、と。
ただもう少し各キャラクターを掘り下げる、というかエピソードが欲しかった、と感じるのは、ストーリーの展開と同期して各キャラクターが魅力的に描き出されていた。無駄のない、そういうつくりだ。だからこそ、遊びが欲しかったのかもしれない、と思った。