先行上映をレイトで2D字幕で観てきました。すごくいい映画に仕上がっておりました〜。原作は桜坂洋のライトノベルSF『All You Need Is Kill』で、初読は確か大学2年の頃だから……もう9年前とかか?w いまはなき島大SF研最後の部長Kくんがおもしろいよってすすめてくれたのでした。Kちゃん、見てる〜?w 映画もよかったよ〜。
というわけで原作既読で映画も観た人向けの、以下感想です。
ストーリーの舞台は謎の生物「ギタイ」の侵略にあっているヨーロッパ。対侵略者の決死の任務にあたっていたウィリアム・ケイジ少佐は、敵に何一つのダメージも与えられずに戦死してしまうものの、次の瞬間、彼は戦地に赴く前の時間に戻っていた。何度か戦死し、また前の時間に戻ってしまう出来事が繰り返されるにつれ、ウィリアムは自分がタイムループに巻き込まれてしまっていることに気付くのだった!
監督は『ボーン・アイデンティティ』でがちゃがちゃカメラワークを生み出し一世を風靡したダグ・リーマン。ハイカソルで出版された翻訳版から脚本が作成され、それが売れたとニュースになったのが2010年だったと記憶しているのでそれから4年が経ったわけなのか。主演はトム・クルーズ。彼と、装備するジャケットと妙にもっさりした感のあるトレイラーのおかげでどうにもダサいなぁと思って、実はそんなに期待してなかったのですが、いやいやこれがびっくり。ノルマンディー上陸作戦といえば冒頭10分がとても楽しい『プライベート・ライアン』なわけですが、あれが死に戻りによって何度も楽しめるわけですw ただその死に方や、作戦中に死ぬことがわかっている人を助けようとする描写などでかなり緩急がつけてあって、ぜんぜん飽きない。これはやっぱり演出の勝利だと思います。途中、タイムループのメカニズムについて解説が入るのですが、そこでも描かれるのはギタイの生態とかそういう部分ではなく、ストーリーを駆動するために目的を明確にする、そういう描写なので、いやーすごく実務的だなぁと惚れ惚れしました。
意識/記憶だけループすることでどんどん強くなっていく――原作がむしろ武道家の型を修練していくことで反射の域に近づける非常にストイックなそれだったのに対し、まさか映画は映像的に表現するためとはいえ敵の出現ポイントをマッピングしてそれを記憶して行動するというまさにゲーム的な演出を見せられて思わず笑ってしまったのですが、その後にさらにMGS的な応用描写があってもうきゅんきゅんしてしまいましたねw ニューステージに進んだらちょっと弱腰になって死に戻り、というのも非常にいい伏線で、それがラストに響いてくる――そういう意味で原作のテーマもそうでしたが、時の不可逆性をきちんと描いてあって非常に好感度が高かったです。ラストのトム・クルーズの表情に「ふわああ」ってなって、帰途はにこにこしながら「ああ、いい映画を観たなあ」となることうけ合いです。あとはリタのコーヒーの描写もよかったですし、EDの曲と、ワイヤーフレームで描かれるジャケットもなんだかすごくかっこよかったです。なんだかダサいなぁと思っていたのに変わるもんだなぁって。
で、思ったのは、これはひとつの作品としてちゃんと成立しているので『Edge of Tomorrow』と呼びたい、ということ。ただの小説の映画化ではなく、敬意を持ってちょっと自分の中で意識したいと思ったのでした。は〜、すばらしいアクションSF映画でした! おすすめです!
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