すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

2018年オススメ本5冊

 今年は順不同です。それではいってみましょう。


熱帯

熱帯

 ふふふ、と読みえ終えたときに思わず笑ってしまう、とてもおもしろい小説だった。読んでいる途中で消えてしまう奇書『熱帯』にまつわる精緻に編まれた物語と物語と物語。そのいくつもの物語が重なった入れ子構造に、続きが気になってページをめくる手がとめられなかった。ただその一方で、森見登美彦の品があってやさしい文章世界にずっと浸っていたいなぁとも思わせられ、読み終えてしまうのがひどくもどかしかった。なにより装幀をもふまえたラストがすばらしかった。読めてよかった1冊。


ベルリンは晴れているか (単行本)

ベルリンは晴れているか (単行本)

 第二次世界大戦直後のドイツを舞台にしたミステリ。重く辛い、しかしラストはとてもすがすがしい気持ちになれる小説だった。ナチス政権下のドイツがどんなふうに戦争へと進んでいったのか、そしてその戦争が、軍事行動は終わったとしても個人の中では決してすぐには終わらないのだという現実を見せつけられた。アウグステの瞳がまるで老人のよう、と表現されていて、胸を打たれた。そこに生きる人々の息遣いを知ることができたように思う1冊。とても濃厚で、すばらしい読書体験だった。


 宮内悠介の自選ユーモア短篇集。ワンアイデアで瞬発力勝負のものが多かったか。でも、あとがきまで含めて楽しく読めた。ファンにはたまらない1冊。特に好きだったのは「アニマとエーファ」「ゲーマーズ・ゴースト」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「クローム再襲撃」「星間野球」か。


零號琴

零號琴

 飛浩隆16年ぶりの長篇。さまざまな出典を参照しつつ、物語が爆走していく。最終回のその先はいったいどんな物語となるのか。「かがみのまじょ」のモチーフは、「ラギッド・ガール」を彷彿とさせる。ドタバタ宇宙SFを書こうとしてこんな感じに膨らんでしまうのはもう飛先生の業なんだろうなぁって思った。ぜひ彼らの活躍の続きを読みたいところだ。『零號琴』は飛先生にとっての《敵は海賊》シリーズとならんことを。あと鎌倉ユリコの元ネタってもしかしてあの子か?とかそういう部分でも後輩諸氏と盛り上がれたのもよかった。


海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと

海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと

 ライトノベル界の鬼才・石川博品によるの異能者バトルもの。タイトルからちょっと想像もつかないレベルでのアクションとバトルものでびっくりはしたのだけれど、あとがきにあるタイトルよりかはいまのほうがよいは確か。謎への情報の出し方とそこからの苛烈な展開、そしてラストへと持続するリーダビリティに、さすがだなぁとうなった。なによりも女の子が肉感的でかわいく、あの抱き合う情景はいまだに印象深い。