ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

4月のまとめ

読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1586ページ

Spotted Flower 1

Spotted Flower 1

Spotted Flower 1 (楽園コミックス)
 えぐい。描かれる内容そのものよりも、その設定が。異なる世界線であったとしても、『げんしけん』からの読者はそう読まざるを得ないわけで、つまり彼は今後本編ではこうなることはないって言われてしまったわけじゃないですか。その事実のえぐさに慄くばかりです。読了日:4月29日 著者:木尾士目


Coyote No.45 特集:メキシコが変えた二人の男 ガルシア=マルケス 古川日出男

Coyote No.45 特集:メキシコが変えた二人の男 ガルシア=マルケス 古川日出男

Coyote No.45 特集:メキシコが変えた二人の男 ガルシア=マルケス 古川日出男
 とても読みがいのある雑誌だった。古川日出男がガルシア=マルケスの足跡を辿るメキシコ探訪記、フアン・ルルフォについてとその影響、サルヴァドール・プランセンシアと藤井光、柴田元幸訳のヘミングウェイが2編。どれも印象深く、雑駁さがよく伝わってくる。ボーダー文学に惹かれる人間として『紙の民』がラティーノ文学だといまさら気がつけたのは遅かったのかよかったのか悩むところだが。読了日:4月19日 著者:新井敏記


本屋大賞2014

本屋大賞2014

本屋大賞2014
 ご恵投頂きました。ありがとうございました。『みずは無間』と『躯体上の翼』に推薦コメントが採用されています。読了日:4月10日


配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

■配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
 大崎梢の駅ビルの書店を舞台にしたミステリ。いわゆる人の死なない〈日常の謎〉を軸にした短篇連作。さくっと読めるタイプの小説だと予想していたのに、作中の謎を自分に引きつけて読んで真面目に解決しようとしてしまうのでぜんぜん心休まらないことがわかったw でもその中でも特に「六冊目のメッセージ」はこれぞ〈日常の謎〉というフェアネスとロマンスにあふれたいい作品だった。あと読んでわかったのだけれど、作者は女性の方だったのか。読了日:4月10日 著者:大崎梢


ランチのアッコちゃん

ランチのアッコちゃん

ランチのアッコちゃん
 会社と食べ物にまつわる連作短篇集。さくっと読めるいい話で解決方法も鮮やかでとても爽快な読み心地だった。ここまでかっちりした無駄のない話運びで「いまここ」の物語を切り取られると、何かケチをつけたくなるんだけれど、でもちゃんと開かれててすばらしいんだよなぁ。特によかったのがデビュー作から連なるテーマを保持した「夜の大捜査先生」だった。読了日:4月6日 著者:柚木麻子


七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)

七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)

■七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)
 七つの胴を一息に断ち切ることのできる刀、七胴落としとは、ここでは圧倒的に強く繊細な感受性に保証された主人公の感応力のことであり、それを失い大人になるまでが描かれる。ひどい青臭さを切り取った、青春SFだ。この青臭さは苦痛と紙一重で危ういバランスを保っていた。読了日:4月5日 著者:神林長平


ペドロ・パラモ (岩波文庫)

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

■ペドロ・パラモ (岩波文庫)
 ペドロ・パラモという名の父親を探して「おれ」は生地を訪ねるが……。死者の語りの中からさらに過去が引き出され、別の語りへと繋がっていく。語りの流暢さと描かれる不穏さのギャップがすごくむつかしい。解説が読書の助けになった。でもガルシア=マルケスはむさぼるように読んだと聞いて、おれがそうでなかったのが悔しい。読了日:4月4日 著者:フアン・ルルフォ


アリスと蔵六 3 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 3 (リュウコミックス)

アリスと蔵六 3 (リュウコミックス)
 おおう、「人の想像力を奪う」能力ときたかー。奪われた人々はまさにゾンビな感じで描かれるし、まだどうなるかはわからないけれど、こういうのこそきっと××××以後と呼ぶような作品になるじゃないのかなぁ。いや単に、主人公・さなとの能力の対比なんだろうけれども。読了日:4月2日 著者:今井哲也