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すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

2013に読んでおきたかった国内SF10選

 ドーモ。給料が減って買いたい本も買えなくなって粛々と積読を消費する日々、みなさまいかがお過ごしでしょうか。こういうリスト記事がブクマを集めることに味をしめて今年1年を振り返りつつ、SF小説を選んでみたいと思います。いわゆる備忘録ってやつですね。

 20年ぶりに復活したハヤカワSFコンテスト、その第1回にて大賞に選ばれた六冬和生『みずは無間』。既読。

 雨野透の人格が転写され宇宙を旅する惑星探査機。目的のない旅路に倦み、自らの機体改造と情報知性体の育成で暇を潰す彼の中の、地球に残した過食症の恋人みずはと過ごした記憶が、宇宙の危機を招来する……壮大な思弁的宇宙SF。


 直木賞候補にもなった宮内悠介ヨハネスブルグの天使たち』。既読。

 ヨハネスブルグに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9の一体を捕獲しようとするが―泥沼の内戦が続くアフリカの果てで、生き延びる道を模索する少年少女の行く末を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」、アフガニスタンを放浪する日本人が“密室殺人”の謎を追う「ジャララバードの兵士たち」など、国境を超えて普及した日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫り、国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直す連作5篇。


know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 ついにSFファンに「発見」された野崎まど『Know』。ここから未読。

 超情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―


 NOVAコレクション第1弾は評論家・東浩紀『クリュセの魚』。部分的に既読。

 長いあいだ戦争を忘れ去っていた人類。だが、異星文明の遺構であるワームホールゲートの発見で、状況は一変する。地球‐火星間をそのゲートで直結する計画が浮上し、人類第二の故郷・火星はいま、激動の時代を迎えようとしていた。2445年8月、11歳の少年、葦船彰人は、クリュセ低地の開星記念堂で、16歳の少女、大島麻理沙に出会い、恋に落ちた。ふたりはやがて、時代の奔流に巻き込まれてゆく……壮大な物語世界が立ち上がる、渾身の恋愛小説。


皆勤の徒 (創元日本SF叢書)

皆勤の徒 (創元日本SF叢書)

 異形の言語感覚に裏打ちされた酉島伝法『皆勤の徒』。うち2篇が既読。

 百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない―第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。現代SFの到達点にして、世界水準の傑作。


躯体上の翼

躯体上の翼

 硬質な抒情に満ちた結城充考『躯体上の翼』。既読。サイン本だよ〜。わくわくするような漢字遣いと遠未来の異世界で繰り広げられる圧倒的な活劇SF!

 およそ百年を費やし、〈共和国〉の互聯網(ネット)を探索できるようになった少女・員(エン)。すでに瑞々しい情報の涸れ果てた互聯網上を彷徨うなかで、彼女はcyと名乗る人物に呼びかけられる。ぎこちない会話を交わすうちに、徐々に絆を育む員とcyだが、共和国の緑化政策船団が散布する細菌兵器の脅威がcyに迫っていた。脊椎動物の血から遺伝子を取り込んでその特質を再現する能力を持つ生体兵器として造られ、数百年もの間戦いと孤独の時を繰り返していた員は、ある決意を胸に、緑化政策船団を追う──兵器として生きる少女にもたらされた、ただひとつの“奇跡”。荒廃した世界に生きる者たちが放つ一瞬の輝きを描いた、『プラ・バロック』の気鋭による傑作本格SF。


 KDPからの書籍化した藤井太洋Gene Mapper -full build-』。未読。

 拡張現実技術が広く社会に浸透しフル・スクラッチで遺伝子設計された蒸留作物(Distilled Crop)が食卓の主役である近未来。遺伝子デザイナー(Gene Mapper)の林田は、L&B社のエージェント・黒川から、自分が遺伝子設計をした稲が遺伝子崩壊(ジーン・コラプス)した可能性があるとの連絡を受け、原因究明にあたる。ハッカーのキタムラの協力を得た林田は、黒川と共に稲の謎を追うためホーチミンを目指すが──電子書籍の個人出版がたちまちベストセラーとなった話題作の増補改稿完全版。


 吉上亮『パンツァークラウンフェセイズ』。未読。

 西暦2045年、大震災で崩壊した東京は、行動履歴解析(パーソナライズ)と現実への情報層(レイヤー)付与を組み合わせた制御技術〈Un Face〉により、完璧な安全(セキュリティ)を実現した層現都市イーヘヴンに生まれ変わっていた。そこへ漆黒の強化外骨格を身にまとう青年・広江乗(ひろえじょう)が、民間保安企業の契約者として派遣される。だが彼には、この故郷を離れざるを得なかった過去があった。そんな乗を試すかのように、白き男ピーターがイーヘブンに降り立つ――。


ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF

ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF

 限界小説研究会の『ポストヒューマニティーズ――伊藤計劃以後のSF』。未読。

 好調な現代日本のSFにおいて中心的な主題になっているのは、日本的な文脈で咀嚼された〈ポストヒューマン〉的なリアリティと、脳科学やロボット学などの成果を用いたハードSF的な思考の融合。これこそが、現代日本SFで起こっていることであり、それこそが「日本SFの夏」を導いた最も重要な主題的な理由である。〈日本的ポストヒューマン〉こそが、現代SFで中心的な主題になっている。そして、現代の読者は、この〈日本的ポストヒューマン〉にリアリティを強く感じる生を生きている。〈日本的ポストヒューマン〉を現代日本SFの特質ととらえ、活況を呈する日本SFの中核を担う作家(伊藤計劃円城塔飛浩隆瀬名秀明長谷敏司宮内悠介)の作品を中心に論考する。


虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉

虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉

 藤田直哉『虚構内存在』。未読。

 3・11以降急速に政治化するオタク、貧困にあえぐロスジェネ世代……、絶望の淵に立たされる今、高度電脳化世界の〈人間〉とは何かを根源から問う。10年代本格批評の誕生! 世界がSF化した21世紀、筒井康隆の超虚構力が甦る。その可能性から跳躍した藤田の批評は、夢と希望と勇気を与えてやまない。――巽孝之慶應義塾大学文学部教授・SF批評家)


 国内だけでも「ハヤカワSFシリーズJコレクション」に「創元SF叢書」「NOVAコレクション」と専門レーベルが3つもあるし、他にもまだまだSFはいっぱい出てて、いやぁ確かにSFは活況なのかもしれませんね。
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