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すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

市川春子『宝石の国1』

読書

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

 今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。――漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。

 ついにの市川春子の「アフタヌーン」連載分が一冊にまとまり発売となりました。市川春子といえば『虫と歌』、『25時のバカンス』とうつくしい短篇SF漫画にずっととりこにさせられていたわけですが、いやーついに今回長篇で連載でその1巻が発売になったわけです。
 それにつけても『宝石の国』のすばらしさ。フォスフォフィライト、シンシャ――性別のない無機生物として宝石の名前を冠されたキャラクターたちがでてきます。砕けても繋ぎ合わせることで再生する、不死身の存在としての無機生物と彼らならではルール、というかその生態系や身体の仕組みそのものがやたらと想像を刺激しますね。おそらくは「25時のバカンス」の「姉」と似たような生物であると考えたほうがよいのでしょうか。
 そしてそんな彼らを装飾品にしようと襲いかかる月人。妙に仏教的意匠で描かれる月人。月人というからには月からやってきているのだと思いますが、それにしては意思が感じられるように描かれていないので、もしかすると月人とは月にいる知的生命体が用いるドローンかなんかではないのかなとか、想像してしまいますね。
 あといやらしいほどに表情や髪や姿態にあふれるフェティッシュさに磨きがかかっていてほんとすごいなぁと。あざとい市川春子を止めるものなど存在しない。通った後は焼け野原ですよまったく。表紙は本当にすごい出来なので、ぜひ手にとってじっくりと眺めてもらいたいですね。あ、あと金剛先生は「星の恋人」の叔父さんと同じあたまのかたちをされていると思いますw そして何よりも宝石たちの関係性が各人で切実なドラマを持っていてそれだけでもうお腹いっぱいになりますね。ダイヤモンドちゃんがいちばんかわいいと思います!

 あとはフルアニメーションでの告知動画も作られていて、これもすばらしいのでぜひ!

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)