ブックスエコーロケーション

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かつてライトノベル読みだったSFファンによる10選

 よく考えたら最近のはほんとまともに読んでいないのだなぁと思ったのでそんなタイトル。おれを熱くしてくれたやつを懐かしさとともに振り返ります。では順不同に。

フルメタル・パニック! アナザー1 (富士見ファンタジア文庫)

フルメタル・パニック! アナザー1 (富士見ファンタジア文庫)

 言わずと知れた人気シリーズの『フルメタル・パニック!』です。このアナザーはまだ読めていないのですが、こういう風に続いていくのも納得のシリーズです。賀東招二は他に『コップクラフト (ガガガ文庫)』もとてもおすすめです。正当なアクション刑事モノの系譜をかなり丁寧にやっていて一周回ってすごくおもしろいです。 言わずと知れた秋山瑞人の人気作。この間のイベントでも取り上げましたが、おれはセカイ系の先駆という部分よりも細部の圧倒的な書き込みこそがこの物語の読みどころだと思っております。他に『ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)』に収録された「おれはミサイル」も非常におすすめです。
ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

 秋山瑞人ときたので当然、次はこれ、古橋秀之の時間SF短篇集となります。こういう感じでもっとぽんぽん書いていかれればいいのになぁと思いつつ、やはり『ブラックロッド (電撃文庫)』に代表される〈ケイオス・ヘキサ〉三部作ことハイパー仏教パンクのような重厚で圧倒的な奴もまた読んでみたいものですね。
冥王と獣のダンス (電撃文庫)

冥王と獣のダンス (電撃文庫)

 続いて上遠野浩平の中で一番好きなこれです。すごーく懐かしくて、高校生の頃、これで友人と喧嘩してしまったこともいまとなってはすごくいい思い出ですw SFとしては『ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)』に代表される〈ナイトウォッチ〉三部作がおすすめですね。特に一作目は青春SFとしてとてもいいです。 同時期にすごく読んでいたのが川上稔です。最近、『境界線上のホライゾン』がとてもおもしろい、これさえあれば他のライトノベルなんか必要ない、ここにすべてが揃っているという言葉を確かめるために挑戦したらいやはやマジでその通りで唸るばかりでした。願わくばアニメがうまくいってくれますように。都市シリーズでは特に『閉鎖都市巴里〈上〉―都市シリーズ (電撃文庫)』が好きでしたね。終わりが決まっている世界に反抗する、かっこいいじゃないですか。 抗う少女たちといえばこのシュピーゲル・シリーズでしょうか。戦闘美少女のその先を描き、放たれた弾丸が一体何を描くのか、ラストが待たれるシリーズでもあります。そして冲方丁と言えば『マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)』ですね。あれそういばこちらも完結編が待たれておりますな。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

 そしてこれ。桜庭一樹の大きな転換点ですね。ここで描かれる切実さは『ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)』にてより歪に研ぎ澄まされます。すばらしい。 次世代型作家のリアル・フィクションつながりで新城カズマの群像劇を。一気呵成に読みきった時に浮かび上がってくる「東京」のための地理小説という側面は作品舞台の地図すら挿入した『サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)』からも感じ取ることができます。
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

 ハリウッドに脚本が売れたという桜坂洋のループSFです。これと同様のアイデアを扱いながらまったく別の方向に描いてみせたのがうえお久光の『紫色のクオリア (電撃文庫)』ですね。読み比べてみるとおもしろいと思います。
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

 そして最後がこれ。田中ロミオの青春ライトノベルです。これはもう本当に痛面白いです。彼は他に『人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)』というシリーズも出していて、こちらは妖精というポスト・ヒューマンが出てくるディストピアSFですね。。
 というわけでなんとなく一定の傾向で持って選んでみました。青春とSFって感じですかね。リスト化はおれがどういうものを面白がっているのかを思い出すのに大変便利ですね。ころっと忘れているタイトルもあってなかなかやりがいがありました。