25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)
- 作者: 市川春子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/23
- メディア: コミック
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- 「25時のバカンス」前後編
深海生物圏研究室に勤務する西乙女は、久しぶりに弟の甲太郎と再開する。深夜の海辺にて彼女が弟に見せたのは……。
姉萌え。すばらしい。アイデアもさることながらさながら、ラストのオチはホワイダニットものにあるような、とてもせつない衝撃がある。すばらしい。
- 「パンドラにて」
土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」。物言わぬ奇妙な新入生・ロロに気に入られたナナは、幼き日の記憶を思い起こす。
このストーリーで培った少女性をまるごと犠牲にして描かれるラストにはマジ唸らされたぜ。幼い頃の友情を描いて感情移入させ、そこから見事にばっさりと裏切ってくれていっそ清々しいよ、ほんともうすばらしい。
- 「月の葬式」
勉強も親の期待もわかってしまう天才高校生。試験の日に乗る電車を「間違えた」彼は、行き深い北の果てで、ひとりの「王子」と出会う。
冬の街と出会いと自分探しと解けない問題を含めて、とてもいい友情のお話でした。ただもう絵面的に穴がいっぱい開いているのはどうにも苦手でぞわぞわしましたね。すばらしかったけど、ぞわぞわw
今回の作品集を読んで思ったのは本当にどれもSFをやっているのだなぁということ。この確信が何に由来するのかというと描かれる作品が普遍的なものが描かれつつも、すごくおれの倫理を揺さぶることにあるのだと思う。その揺さぶりがとてもぞわぞわぐるぐるする。すごくおもしろいのだなぁと思う。感傷に訴えつつも、別の側面でしっかりと裏切ってくれる。そしてその裏切りを悟らせない。すばらしい。おれってこういうSFが好きなんだなぁと改めて思わせられました。
- 作者: 市川春子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/20
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