三十年以上、SFの最先端で闘ってきた神林長平という作家の決意表明とも伊藤計劃論とも若手に対する発破とも読める、強力な「フィクション」。とりま。この文を引用するに止めます。これ以上ない方法で書かれた文章があるとそれを引用するのがまったく効率的ですよね(白目
「いいや。今回の震災に限らず、SF作家はどのような社会自然現象につても応答する責務など負っていない。語る能力のあるものは語ればいいのだし、応答するか否かは、各人の自由だろう。SF作家の責務は一つだけだ。新しいSFを創ること、新作を書くこと、ただそれだけだ。そのように言って、断った。ぼくは、こういう脅迫めいた依頼に応じるつもりはない。かつてもなかったし、これからもないだろう」
(中略)
「ぼくはこの千年に一度という大災厄を前にして、語る言葉を持っていない、というのが本当のところだ。ぼくにはそれだけの力がない。だから沈黙するほかない。しかし、圧倒的なリアルに対抗するには優れたフィクションしかない、ということは知っている。ぼくが三十年以上SFを書いてきて得たものは、そうした実感だ。(後略)」
「優れた」というのがやっぱり曲者です。「優れた」かぁ。
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*追記(2012/02/23)
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