日本円にしておよそ5800円で製作されたゾンビ映画を観てきました。そんな低予算の映画なんてきっとつまんない/ひどいと思われるでしょうが、まずこの煽りがすでにミスリード。どんな映画かなと怖いもの見たさで観に行くと、実にいい意味で期待を裏切ってくれました。すごく映画をしているのです。というか、音楽のタイミングや凝ったカメラワーク、「走らないゾンビ」や「ゾンビよりも人間の狂気のほうが恐い」や「ただ物質としてあるゾンビ」といったジャンルの定型をきちんと押さえた見せ方など、そういう部分がしっかりしていれば、ちゃんと映画になるんだなぁと思いました。あとこの映画、ゾンビ/コリンの一人称、というかロードムービーのように彼がゾンビ化した終末を歩き回ることで世界を描いていきます。なぜかゾンビに感情移入するかのように描かれ、それが決して不思議に思わないようにちゃんとこちらの感情に訴えてくる。なんとも不思議にエモーショナルな怪作となっております。上映場所は限られるのですが、ぜひ一度観ていただきたいですね、こういう風に映画が撮られるんだなぁ、という驚きもあります。
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で、この映画のあとに配給プロデユーサーの江戸木純さんのアフタートークがあったのですが、そこでの解説でも頷くことしきりで、ふと気がついたのです。『学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD』と『アイアムアヒーロー』との違いなのですが、前者がある種徹底的に中高生の願望を描き倒すのに対して、後者は徹底的にカタルシスが得られるようなことを排して、つまりゾンビ映画の定型から外れるように、アンチゾンビ漫画として描かれているということでした。同じジャンルの中でもこういうベクトルの違いが明確に出るということに気がつかせてくれたのも『コリン』という不思議な映画を観たおかげなのだな、と思い、おれもゾンビものを書こうかなぁ、と思ったのでした。
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 104-1)
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