ブックスエコーロケーション

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SF小説を書くにあたって。

 勢いで書いたプロットを精査するためには他者の視点が非常に重要です。昨夜先輩と後輩に見てもらい、何度もなるほどとうなずきました。ありがとうございました。自分では気がつかないものです。これでおもしろいはずと思っているのにやはり弱い部分やわかりにくい点を指摘していただきました。その中でも特に答えられなかった質問がありました。
 これがSFとして書かれる必然性とは何なのか?
 今回で言えば男女がヨリを戻すために科学技術がどのように用いられるのか。毎度のことながらストーリー先行であるとそれが別に携帯電話でも封書でも代替可能であることがわかってしまって冷や汗ものでした。
 もちろんフィクションという嘘の中で、さらに大きな嘘を公然とつくために必要なツールとしてARを考えてはいましたが、それは本筋とはほとんど関係ないストーリーの派手さを出すためのものと割り切っていて、それでSFを書くというのはどうにもおこがましいと気がつかされました。
 ガジェットが社会や個人に与える影響を考え、それがストーリーと密接な関わりをもち、駆動させるダイナミズムを獲得していること――そこにSFを書く意味がある。今回においては主人公の思考の変化のトリガーたりえるのか、ということが焦点になると思います。実はいままでまともな思索を作中で展開したことはないのですが、そこはほら神林長平チルドレンとしての意地の見せどころでしょう。
 そして上記の問いは学生時代の恩師が発したものであるということを完全に忘れていた自分よ、大丈夫か。

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