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すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『セブン(1995)』デビッド・フィンチャー

映画

セブン プラチナム・エディション【初回限定生産】 [DVD]

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 雨の降り続く、とある大都会。退職まであと1週間と迫ったベテラン刑事サマセットと、血気盛んな新任刑事ミルズは、ある死体発見現場に急行した。死んでいた男は信じられないほど肥満した大男だった。彼は食べ物の中に顔を埋めた恰好で、汚物にまみれて死んでいた。
遺体を調べたところ、何者かに食べ続けるよう強制させられ、食物の大量摂取とその状態で腹部を殴打されたことによる内臓破裂が死因だったことが判明。遺体には銃を押し付けられた銃口の跡があり、殺人事件と断定される。サマセットは遺体の胃の中から発見されたプラスティックの破片に導かれ、現場の冷蔵庫の裏に犯人が脂で書いたと思われる『GLUTTONY=大食』の文字と事件の始まりを示唆するメモを発見する……。

 ぐったり。レーティング的に描けない部分でも、情報を小出しに見せて不安感を煽り、視聴者に想像させることでとてつもない恐怖感を演出してくるのが、もうね、映画に振り回されました。見終わってぐったりです。もちろん上記はオチもそうなのですが、それまで、それまでの見せ方がいちいちうまい。ただ待っているのがダレないようにチェイスのシーンを入れて、それを会話のシーンで生かしてみたり、これもまた無駄がない。基本的に無音で不安を煽るようなシーンになるときっちりと音楽を鳴らしてみせるのも恐い。なんだかサスペンス映画、というよりもホラー映画のような見せ方だな、と思ったのでした。ただなんというかサマセットとミルズとジョン・ドゥの車中での会話のおかげか、それまでの得体の知れない恐怖がわかってしまう、というかこれからの恐怖を先に怖がってしまって、会話がとても空虚な、絵空事に聞こえたというか、そんな当たり前のことに潔癖になってしまうのだろうな、と思ったのでした。だからどちらかといえばその前の酒場でのサマセットとミルズの会話で描かれた、ミルズの意思の方が共感できる=おれに近いのかな、と思いました。確かにこの映画はスリラーというか、とかく恐怖を描くことに、それをどう描くのか、という部分に力を注がれているようではありましたが、ことその動機においてはキリスト教圏ではとてもプリミティブな問題を扱っているのかな、と思いました。このあたりの思索はきっと『ウォッチメン』のロールシャッハの存在を「モラルと価値観が地に堕ちた混乱の世界における清き戦士」とみるか「法を無視して殺人を繰り返す危険なサイコパス」とみなすか、という部分につながっていくのでしょう。
 とても疲れますが、とても疲れるだけ、映画を見たと思わせられる映画でした。