ブログなんだから好きに書けばいい、と思うけれど、やっぱりどうしたってかっこつけてしまう。それはもうどうしようもない部分なので、開き直ってこの記事を書いている。いや、単に怖いだけなのだろうと思う。
伊藤計劃の一周忌だ。おれがいちばん彼らから影響を受けている、と勝手に思っているから他の人の言葉に負けてたまるかとこの記事を書き出している。でも、何を書けばいいのか正直わからない。ただ他人の言葉で代弁されるようなことじゃない。自分が、自分の言葉で憶えておかなければならいことだと、そう思った。
おれが彼の作品を知ったのは飛先生のmixi日記だったと思う。それで読んで、悔しい、と思った。先にやられた、と思った。そのあとブログがあることを知って、遡って読んで、彼のmixi日記を真似た記事を書いたり、彼の見た映画を追いかけてハマったり、後輩とノベライズやるみたいだよと話したり、彼の思考の流れを、次作の構想みたい感じをいつのまにか受け止めていて『ハーモニー』を読んだら自分でショックを受けるぐらい似たような小説を書きかけていて、でもそのジャンクの束が圧倒的に洗練された形で提示されていたものだからさらにショックを受けて、まったく書けなくなってしまった。どんだけ繊細なのだろうと思うけれど、手放したくもない繊細だとも思う。そして手放したくないのは彼が放った物語も、だ。当たり前だけれど、彼が放った拳は確実にぼくに届いて、ぼくをざっくりと抉ってくれた。
ぼくらは行進する。2009年03月25日20:50
大好きなSF作家が死んで、案の定転勤もなかった。小説はいっこうに進む気配もないし、花粉症はひどい。脊髄反射で日々を生き延びれば大人になったということで、かわいい後輩からかかってきた電話はセラピーもどき。引越の準備から逃げるようにゲームにのめり込むのだけれど「ほんとうに楽しいのか?」と疑問符がついて回る。
ぼくらはぼくらのルールを勝手にでっちあげてしばらくは安心していられるけれど、いくら正当化したところで結局はうまくいかない。
でも、これはほんとうにひどいくらいに幸福な悩みだ。
やらなきゃならないことをやり続けるという意思、あるいは覚悟を持ったことなんてない、これぽっちもない。
(いつか、きっと、なんとかなる)
でももうこれ以上いろいろなことが手遅れになる前に、なんとかしなきゃな。
傷はまだ残っているのか。
残っている。
発表を待っているだけだけれど、少しは行進できたと思う。
そうだ、ぼくは確信している。
いつか彼の作品に相対できる、そういう小説を書けると。
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