すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『SF本の雑誌』

SF本の雑誌 (別冊本の雑誌 15)

SF本の雑誌 (別冊本の雑誌 15)

 ライトノベルからリアル・フィクション世代のKASUKAには、この本はとても勉強になりました。いわゆる停滞の時代の、その外側からの視点で描かれていてなるほどなぁと思ったのでした。けどけっこうやっぱり海外の作品への言及が多かったのかな。あとやっぱりシリーズもののエンタメSFが強いんだなぁと思ったのでした。
 SFサブジャンルベストテンはホロコーストSFの項が一番興味深かった。どうあってもディストピアものに目がいってしまうのだな、と気がついた。他の項と較べていちばん熱心に読んだし。
 円城塔の『バナナ剥きには最適の日々』は泣きが入っているだけ今までで一番わかりやすかった。だからこそ胸に来た。読んでいて曲が浮かんで、それはまぁ当然のごとく銀杏BOYZの『銀河鉄道の夜』だったりするのである。べたべたではあるのだけれど、そう思ったのだから仕方がない。飛先生に危うく読まれましたかとメッセしてしまうところだった。
 読了後、アンナ・カヴァンの『氷』を注文した。あとアルジス・バドリスの『無頼の月』が気になって仕方がない。ハードボイルド+SFで、かつ答えは出ない。ラストの台詞が「フォーゲット・ミー・ナット」。うーん気になります。これを言及していた対談で初めて黒丸尚さんの言葉を読んだような気がします。ちょっと違うのだけれど「ああ、肉声だ」みたいな、そんな感触がありました。

 チャッキーがこんな時、何を言うような奴だったのか、僕には全然記憶がない。
 旗を立てるのが、仕事です。

 こういう感じでいつも円城塔は前後の文章でつながりがないように書き出しておきながら、並べて書くことによって強引につながりを打ちだしてくるのだからおもしろい。あるいは前後の文のつながりが読者にはわからないのだけれど、きっと円城塔にはつながって見える、ということなのだろうということ。ようやくそれがわかってきた。まぁなにより今回は一本通ったストーリーもあるからなのだろうけれど。