- 作者: 本の雑誌編集部
- 出版社/メーカー: 本の雑誌社
- 発売日: 2009/07/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 7人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
SFサブジャンルベストテンはホロコーストSFの項が一番興味深かった。どうあってもディストピアものに目がいってしまうのだな、と気がついた。他の項と較べていちばん熱心に読んだし。
円城塔の『バナナ剥きには最適の日々』は泣きが入っているだけ今までで一番わかりやすかった。だからこそ胸に来た。読んでいて曲が浮かんで、それはまぁ当然のごとく銀杏BOYZの『銀河鉄道の夜』だったりするのである。べたべたではあるのだけれど、そう思ったのだから仕方がない。飛先生に危うく読まれましたかとメッセしてしまうところだった。
読了後、アンナ・カヴァンの『氷』を注文した。あとアルジス・バドリスの『無頼の月』が気になって仕方がない。ハードボイルド+SFで、かつ答えは出ない。ラストの台詞が「フォーゲット・ミー・ナット」。うーん気になります。これを言及していた対談で初めて黒丸尚さんの言葉を読んだような気がします。ちょっと違うのだけれど「ああ、肉声だ」みたいな、そんな感触がありました。
チャッキーがこんな時、何を言うような奴だったのか、僕には全然記憶がない。
旗を立てるのが、仕事です。
こういう感じでいつも円城塔は前後の文章でつながりがないように書き出しておきながら、並べて書くことによって強引につながりを打ちだしてくるのだからおもしろい。あるいは前後の文のつながりが読者にはわからないのだけれど、きっと円城塔にはつながって見える、ということなのだろうということ。ようやくそれがわかってきた。まぁなにより今回は一本通ったストーリーもあるからなのだろうけれど。