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小説家志望の雑記です。

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

 なんといっても今回の目玉は古川日出男による村上春樹のインタビュウだ。
 村上春樹のすごさ、異質さが実によく伝わってくる内容で、9・11以後の視点、というか考え方は本当に鳥肌が立ってものすごくよかった。具体的なことは読んでもらいたいから詳述は避けるけれど、おれは「目が覚めた」と感じた/このままじゃまずいんじゃないのかと思ったのも9・11で、それからアメリカのイラク侵攻までの間、今まで書いてきていたものをいちどぶっつりと全否定してしまったことがあって、それ以前とそれ以後で読んだ村上春樹の小説がぜんぜん違って見えた、ということが言い換えられてそこにあってびっくりした。
 あとこのインタビュウで村上春樹近代文学を破壊していった過程のようなものが描かれていて、それだけでもうずいぶん勉強になった。もちろん作家像として、すごい、と思うのだけれどどうしたっておれには真似できないことのほうが多くて、だからこそあこがれるのだろうなぁ、と思った。
 よしとりあえず『ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)』でも読むかな。


 あと古川日出男はこれに「屋上霊園」を掲載している。まだ冒頭をほんのちょっと読んだのだけれど「会話」でできているな、と思った。
 で、ここ最近の古川日出男を簡単におさらいしておくと、桜庭一樹の『少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)』の解説を書いていて、これはどうにもいしいしんじの『ボディ・アンド・ソウル (河出文庫)』の解説を意識したような「物語」した解説だった。ストーリーによって、こういうシチュエーションで読まれるような小説であると解説してあるのだ。
 あとは講談社文庫から『ルート350 (講談社文庫)』が出た。これ*1は昨年『聖家族』から逃げるように読み終えたやつで、まったく時代背景を無視して読んだのだけれど、たぶんそれがよかったと今では思う。切り離されているということが普遍性を獲得する。作品に、現実へコミットする力があるのはぜんぜん構わない、というかすごい、と思うのだけれど、こういう時代背景があるんだよと他人に指図されて読むものではないと思う。なんていうのは「解説に書いてあることだよね」って言われたのがよっぽどトラウマなんだろうなw
 追記で、今月号の野性時代 第66号 62331-68 KADOKAWA文芸MOOK (KADOKAWA文芸MOOK 68)から連載の第2回?「黒いアジアたち 続・すきとおる浅い青いところからはじまるものと奥深い緑からはじまるもの」が掲載されている。こっちはまだ未読。お店に入ってきたと同時に売れてしまって確認できなかった。