やっぱ物語でしょ!久々に夜を徹して読んじゃったよ!
冒頭の出会いのシーンがきちんと劇的な場所で劇的で、徐々に聴く側/オーディエンスから演る側/パフォーマーに変わっていく主人公につられるように、無性に音楽が聴きたくなって聴きたくなったのでGOINGSTEADYの『さくらの唄』を引っぱりだしてコンポにぶち込んでヘッドフォンで大音量で聴きながら読んだ。もうやばいぐらいに合って合ってたまらなかった。ああおれはいまストーリーに身を任せている!という圧倒的な高揚感を久しぶりに感じたし、正味2回ループで読めた、という短期決戦的な感じがもうね、まさに「ライヴ」な感じでした。今年のベストワンは正直こいつになってしまいそうですw
クラシック用語はほとんどわからないのだけれど、わからないからこそたぶんリアルなのだと思う。いやよ、自分の知っていることだけ書かれているようなものを読んで、いったいそれのなにが楽しいんだ?
あとストーリーの基礎たる「失ったものを回復する」という要素と「異界に行って帰ってくる」という要素をしっかりと、非常にしっかりと押さえてあって、先が読めるからこその楽しさが炸裂だった。つかこれってまんま『ストーリーメーカー 創作のための物語論 (アスキー新書 84)』の話なのだけれど、ここまでストレートに書いていても、楽しめるのはやっぱりわからない細部のよさが厚みを持たせているんだろうなぁ。各所の引用もそうだけれど。
電撃文庫に限った話になるけれど、勝手に概観してみると「とらドラ!−さよならピアノソナタ」的青春ドタバタ・ラインが一本、「灼眼のシャナ−とある魔術の禁書目録」的異能者戦闘ものラインに、「キノの旅−狼と香辛料」的異世界叙情ものラインに、「有象無象」ハーレムものラインがあるのではないのか。おれが勝負したいのは異能者戦闘ものではあるけれど、読んで楽しめる/好きなのは青春ドタバタなのかもしれない、ということはべつにいまにわかったことではないのだけれど。うーんしかし、今回は本当にやられたなぁ。
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