ティエリアの「無自覚な悪意」っていうのから劉鳳の「信念なき行いは悪以外のなにものでもない」っていうのを想起したけど当たり前か。黒田洋介だもんな。
一貫して言えることがあって、黒田洋介は、自分の確信にのみ基づいて、つまり「こうすれば正しいんだよ」といういかなる準則に頼らず、主体的な決断や行為へとつながっていく「覇気」がすばらしいものなんだ、と言っているということだ。
だからファーストシーズンを通して、セカンドシーズンで刹那は、イオリアのシナリオから脱却しているように見えるし、そういう行為や決断を行っていくのではないのかと思う。カズマや劉鳳がまさにそうであったように。
そしてわれわれ現代人はそうあることがかっこいいことであると知っていながら、ただそれだけができない。主体的な確信のみを頼りに暴発する見切り発車的「覇気」は百年やちょっと前の幕末ではまったく当たり前の前提であった。
しかし再度言うがわれわれは「ただ生きていることがすばらしい」という思想によって、命を大きなことを為すための資産として扱うことに対して非常に忌避を抱くようになっている。自分がどんどんゾンビになっていることには無自覚でありながら。
そこで沙慈だ。かれはわれわれだ。
そしてその変化は、まさに石川忠司のいうゾンビ/だめ人間/衆生/現代人のそれをいかに、という部分を見せてくれるのではないのか。今回の引きと次回に期待したい。沙慈を安易に変化させずに、話数を割いているのはたぶんそういう意図があるのではないのかと思った。
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