すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

青山七恵『窓の灯』

窓の灯 (河出文庫 あ 17-1)

窓の灯 (河出文庫 あ 17-1)

 主人公・まりもはとても子どもで、自分にとって特別な存在であるミカド姉さんの「平等なやさしさ」の庇護から脱却して、特別な関係をつくりたいと思い、観察し、わかったつもりでいる。しかし、ミカド姉さんの特別な人である先生の登場によってそれが自分ではないこと、そしてミカド姉さんの特別な人である先生からも特別に見てもらえないという事実が立ち上がってくる。そのもどかしさが実に丁寧に、あるいはねばっこく描かれている。
 窓の向こうの彼を観察すること、見ることによってわかったつもりでいるけれど、反対に彼がまりもを見るのは本当に最後のシーンである。その直前でまりもは「観察できたら、と思う。自分だけじゃなく、まんべんなく誰も彼も一度に見渡せたらいいのに。」という考えにいたる。
 この作品で見ることは実にいろいろな意味がふされているがまずもって、その視線には「脇目もふらず、滑稽なほど熱心に」という言葉が冠されるべきだろう。
 つか、文章というか言葉遣いが文学やってますっていうのはわかるんだけれど、これってどこまで自然主義リアリズムってやつなんだろうか。ふいに今までと手ごたえの違う表現が出てくるとあれーって思ってしまう。いや、そういう風に思わせるってのが狙いなら、まんまと、ということなのだろうけれど、ふーむ。
 今回は解説から先に読んでみたのだけれど、話の流れをぜんぜん別に解釈していて、それと引き比べて読むだけでも充分に勉強になった。なにを論じようとするかによってぜんぜん別の物語が立ち上がってくるように思えたのだ。