ブックスエコーロケーション

「SFとボクらの場所」をテーマにした本屋のブログです。実店舗はありません。開業準備中。

よしながふみ『西洋骨董洋菓子店』

 なんだよ、おもしろいじゃん。なんかもしかしてよしながふみって下手になってるの?
 ちなみにKASUKAが読んできたよしながふみ愛すべき娘たち (Jets comics)こどもの体温 (ウィングス・コミックス)大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))の2巻までときのう何食べた?(1) (モーニング KC)だ。
 で、うしろのふたつは正直「?」と首をかしげた。大奥はジェンダーSFとして読んでしまって評価が辛くなっていることは自分でもわかるし、まだ両方とも完結していないってのもある。そして両方とも最近の作品である。なので上記の一文なのである。
 上記、2つと比較して思ったのは、西洋骨董洋菓子店がおもしろかったのは、男が4人いるからなのだ。上記の二作品は一対一の単線だけど、アンティークは6通りのカップリングが可能で、それだけで物語が長さと厚みを獲得できているのではないのかと思う。でも一番好きなのは芥川さんですとも、ええ。
 また、アンティーク開店動機を巡るワイダニットミステリィとして読んでしまった部分もあって、ああ、と膝をうってしまった。ケーキを砂糖の味しかしないという橘がなぜ、とね。ミステリィには評価が甘いです、はい。
 橘の「本当はあいつに――」というなんというか根っこのよさがいい。しかしまぁこれが小野の魔性さを発揮させるトリガーというのもおもしろい。
 あ、で、でも、でこちゃんが誘拐される鬼畜展開を予想してぞくぞくしたのはおれだけではないはず。
 長さとキャラクターに大きな謎の解決と、実にしっかりしたマンガでしたな、といちおうまとめてみる。


 ちなみにぜんぜん関係ないけど、ウィキペディア西洋骨董洋菓子店から3手で飛先生の項目までいけることを発見した。