ブックスエコーロケーション

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豊崎由美・大森望『文学賞メッタ斬り!たいへんよくできました編』

文学賞メッタ斬り!〈2008年版〉たいへんよくできました編

文学賞メッタ斬り!〈2008年版〉たいへんよくできました編

  • 長嶋有が萌えキャラ、というか非常に愛らしいキャラになっていて意外だった。
  • 石田衣良は住む世界、というか闘っている世界が違う。
  • 朝日文学新人賞は狙い目かもしれない。おれがどげんかせんといけん。
  • 大森望が『Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)』について「何回読んでもよくわからない」と書いてあって意外だった。と、書くとおまえはわかっているのか、と言われそうだけれど、『Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)』よりかは、やろうとしていることが突き抜けているだけ逆に、はっきりと立ち上がってきているのではと思った。個別の感想はまた後日にでも。
  • でも豊崎由美の「わたしに理解できないのは全然かまわないでしょ。そんなことと作品の質には何の関係もないもの。」との言葉には、目からうろこだった。小説家を信用している言葉だなぁと思った。
  • 私の男』でずっと疑問だった「死体in押し入れ」=「Skeleton in the closet」=「家庭の秘密」=「近親相姦」っていうことだったのね、すみません寡聞でした、と平謝り。なんというか桜庭一樹はいっつもなにかしら傷のある作品を出していたように思っていたのですが、今回にいたってはそれはおれの能力のなさに起因するようです。うーむ。
  • まとめ。世の中にはたくさんたくさん小説があって、おれが書いたものなんかぜんぜんたいしたことがなくて、でも書きたいものがあるわけでもないのに小説家にこだわる理由が結局なんなのか、もう決定的に見失っているのだけれど、それでもここで行われている評価を使えば、それなりのものが書けそうではある。そうして、そんなものは誰も読みはしない。