ブックスエコーロケーション

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『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』

 観た。濃かった。安定していて、安心して観ていられた。でもそこから脱出するほどのなにか、が足りなかった。ように思った。
 キャストが豪華でほとんど出オチに近いのが印象深かった。なにより印象深かったのは、目に力のある伊藤英明よりもすばらしいへたれぶりを発揮していた佐藤浩市よりも口ピーの伊勢谷友介よりも、なんだか妙にこぎれいな堺雅人であった。得意の笑顔があまりなくて、死に様も妙に気持ち悪くてよかった。
 あとこれはおれ自身のことなのだけれど、気がついた。けっこう前から銃撃戦が好きなのかもと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。斬っている感触としてのジム・ストTBS装備であり、狙い撃っている感触としてのジム・スナであるようだ。感触。この映画での銃撃戦は撃ってはいるのだけれど、なんだか感触が軽い。この軽さを突き抜けた先にガン・カタみたいな方向性もあるのだけれど、やっぱり当然そこまではいけてない。*1
 撃っている重さ、斬っている重さがほしい。そのイメージが、記憶をファイアして感情を走らせる。震えが来るのだ。
 ただ単純に殺陣をみたいわけじゃないのだけれど、身体がぶつかり合う重さを白兵戦だと表現しやすくはあると思う。摩擦によって自己を確認する、というような。そういう感情の高ぶり。『ボーン・アイデンティティー』はそのあたり、しっかり描けていたようにも思った。
 うーん、次は『300』か、な。戦闘シーンに期待です。

*1:あ、でも伊勢谷友介の偏差撃ちはけっこうよかったかも。