- 作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 文庫
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最初はとっても淡白な風景描写*1が「読むとこないなぁ」と思っていたのだけれど、その淡白さが上巻半ばくらいからだんだん病みつきになってくる(笑)。不思議(笑)。文体でもけっこう実験的なことをやっていて、会話文をかっこにくくらず改行なしで連続させて酔っ払いたちの会話を、登場人物の書き分けをやりつつ見事に描いてみせたり、同じ方法でヘンリーとキャサリンの仲睦まじさを書いたり、ヘンリーの死への恐さを書いたりしていて、おもろいなぁと思う。
傷が快復して戦場に戻され、そこから退却するシーンはとても息を呑んで、読んだ。正直さきの展開が、歴史的背景を含めおれには全然わからないので、ずっとどきどきしっぱなし。いつ死んでもおかしくないひりひりした感じがつきまとっていて、たぶんそれも文章のせい、というかおかげなんだろうなぁ。あとたぶん物語で続きが気になるのはちゃんと登場人物の生き様の、その顛末を追い求めたくなったからなんだろうなぁと思った。
「物語が読まれるのは人の人生が一度きりしかないことへの抗議だ」とは北村薫の言葉だが、そういう意味で決してヘンリーのような人生を送ることがおれにはできるのか……、と考えさせられた。