中学生のとき、熱心にラジオを聴いていて、それを苦心してカセットにとっていた。
そのなかにはピロウズやピートベストやブラフマンやバンプや、そういった連中が曲名もバンド名もわからずに純粋に曲だけで、残っていた。今はもうテープは伸びてしまっていて音質もぐだぐだで、聞けたもんじゃないだろう。
でも、おれは覚えている。イントロだけでRECのボタンを押すかどうかを真剣に悩んだ、あの瞬間を。
だから、おれは覚えている。
そうか、この曲がくるりか。岸田繁だったのか。
そうか、ナンバーガールのギターが向井秀徳で、かれが、古川日出男と朗読ギグをやった人だったのか。
ああそうか、だから『ロックンロール七部作』の扉の言葉がくるりのワールドエンドスーパーノヴァなのか。