ブックスエコーロケーション

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『「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか』

「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか

「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか

 仲俣暁生を読んでいると、米澤穂信じゃなくて桜庭一樹日本推理作家協会賞を受賞したのも、なんだかうなずけるような気がしてくる。

 米澤穂信は小市民系=アンチ/ポスト・セカイ系、つまり青春からの脱却を描く作家。
 桜庭一樹セカイ系という、記憶することやセカイとのズレを丁寧に描く青春小説作家。

 仲俣暁生のミステリ=青春小説という論の展開によって、どちらが親和性が高いのかは、自明となった。
 いや、もちろんおれは、推理作家協会賞がどのような歴史を持った賞か詳しく知りませんから、単なる憶測と、仲俣暁生への追従でしかないとも、思いますがね。ま、でも、補完する出来事ではないのかとも思います。

 じゃあ個人と世界との中間領域を描いた社会派ミステリはどうなるの?って言われそうだけれど、当然ふたりとも新本格の流れを受けてって部分で語るのが筋ってもんじゃあないのかなぁ。とも、思うわけです。