すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『フルメタル・パニック! つどうメイク・マイ・デイ』

 大切な人、心を許せる仲間、帰るべき場所――相良宗介はすべてを失った。
ミスリル〉壊滅後も、執拗な追跡を続けるテロ組織〈アマルガム〉。その魔手はテッサをはじめ、重傷の宗介にも伸びようとしていた。一方、幽閉中のかなめの心に、ある決意が芽生えはじめる。
 レモンたちの協力を得てかなめ奪還に向かった宗介は、奇しくもテッサたちとの再会を果たす。かなめに導かれるようにつどう〈ミスリル〉のメンバーだったが、敵の圧倒的な戦力と、正体を現した裏切り者に苦戦を強いられるのだった。
 ついに、新型AS ARX-8〈レーバテイン〉が登場!! 反撃開始だ!! かかってこい!!

 いや、“ガン・ハウザー”モードはちょっとやりすぎじゃねぇwwwwとか思ったのだけれど……〈レーバテイン〉の設計を〈アル〉がやったのならば、彼がこの闘いでいずれ必要になると判断したのであるからして、ECMなんかは宗介の技術でカバーしようってことで、このあたりの信頼関係ってのが本当に上手ですねぇ、賀東招二(笑)。いや久しぶりに〈誤読〉という名の深読みが楽しいわけですよ!
 宗介とかなめの、自分を取り戻す過程が「身体を動かす」ことであったことと、〈アル〉が〈レーバテイン〉を自ら設計したことが今までの「身体感覚=戦闘経験」によるものであるということの、この意図的なリンク。彼らが決して理屈だけで動いているわけでもないし、筋肉バカではないことの、その証左ってもんでしょう?そしてそのバランスを描くことは原始以来人間がやってきたことで、つまり直感や感覚を、完成されたシステムの塊である「軍隊」の中に持ち込むことで、まったく別の次元の「人間とは?」という問いかけに答えを提示しようと(作者の意識/無意識を問わず)しているのではないのかと、KASUKAは賀東招二のやろうとしていることに震えが走るのです。(ま、だからこそゴーギャンの絵はちょっとあざとすぎるような気もしたのですが、そのあたりは主要読者(中高生)のことを考えて、きちんと足場というかデータベースというかリアリティが考慮されているってことで、看過できるのでしょうね)
 この先、彼らの「ファッキン・ガッツ」がどうなっていくのか。引きのうまさ/伏線の提示/ワケアリな強敵の登場/ロボット戦闘の見せ方/決めのセリフ/テクニカルタームの奔流/どれをとっても一級のエンターテイメントであり、おもしろければそれでいい!ですねホント。いやぁマジで勉強になります、ホント続きが気になる。
 こういう、ライトノベルでしか書けないこと=マンガ・アニメ的リアリティの上で描かれる、本来なら矛盾に満ちた人と、その死を描ける作家が、10年以上シリーズを続けている。これってかなり凄いことじゃないだろうか。
 ちなみにKASUKAが一番ツボだったのは〈隠し腕〉でした(笑)。