KASUKAは小説を、物語を、ひとつの統一された「小説家/作家」という文脈で読み解くことを非常に好む、そういう人間です。すでに描き出されている物語群を前に、その背景たる作家の人生といったものまで読み取ろうとする、そういう人種なのです。
そしてKAUSKAは冲方丁フリークです。この頃KASUKAがとみに追いかけようとしている作家が、冲方丁なのです。
では彼の、なにが、どのようにして読者をとりこにさせるのか。
その一端に、彼が常にクオリティの高い作品を読者に提供していること、そしてそれが小説という枠組みだけではなく他のメディアへと展開していることを忘れてはならないでしょう。読者は彼の描く小説だけではなく=「小説家」という側面を追うだけではなく、ピルグリム・イェーガーや蒼穹のファフナーやシュヴァリエといったアニメ・漫画の原作といった多メディアに渡るクリエイター・冲方丁を、その才能を追いかけるのです。
小説に飽きれば、アニメに、漫画に、と移動することができます。冲方丁という世界の中を1周するだけで昨今のオタク文化を俯瞰できると勘違いすることができます。
当然こういった視線に立ったときに考えられるのが、閉じた世界にならないか、ということです。冲方丁が閉じた世界にならないのか、停滞することがないのか。
それは彼が、冲方丁が作品を、新たなプロダクトを提供し続ければ問題とはなりません。メディアの枠組みにこだわることなく移動し続けていくことによって、小説を、漫画を、アニメを相対化していくことによって冲方丁の作品は新鮮味を失うことなく供給され続けるのではないのかと、考えられるからです。
先日発売された『オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)』を読むと、今さらこの時期になおあえて、冲方丁が戦闘美少女物をライトノベルレーベルで描く、その意味が、彼の闘うことの意味が垣間見えてすげぇなって話と、それをリアルタイムで読めるという幸福感を誰かに発信したかったからなんですけどね。
まぁ彼の作家性みたいなもんが過剰に演出されたものであっても、有言実行なんてそうそうできるもんじゃねぇし、冲方丁にクリエイターの理想像を投影して追っかけてるってのがKAUSKAの中に多分にあるんでしょうけれど。
うーんまさに「意地があんだよ、男の子には!」の世界観を彼は体現しているんですよ!(笑)。
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