すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『デコトラの夜』

デコトラの夜 (1) (ウィングス・コミックス)

デコトラの夜 (1) (ウィングス・コミックス)

デコトラの夜 (2) (ウィングス・コミックス)

デコトラの夜 (2) (ウィングス・コミックス)

何も迷うことも、愛することもなく死なないように生きてきた。なのに今、裕一は、デコトラに乗って、ヤクザと銃撃戦をしている!! タイヨーとの出会いが、人生初の冒険に裕一を引き込む!? 夜をかっ飛ばせ!! 野郎二人のロード・コメディ!!

物語の骨子は非常に単純明快。ふたりの主人公「裕一」「タイヨー」には失ったもの/持っていないものがあって、それらを取り戻す/手に入れる、というストーリー。
要はその過程をどう描写するのか、ってことなんですが。
いやうまいっすね。一気に読ませますね。疾走感、というやつですね。
構図とかモチーフの使い方とかいまいち変なところも目立ちますけれど、そんなことを抜きにして読ませる。
切れそうで切れないふたりの関係がとても繊細に丁寧に描かれるのです。その関係を追っていくだけでなぜか知らないけれど非常にサスペンスフル……ああそうかこれはどこか恋愛の駆け引きに近いものがあるのか、と書きながら気がつくおれ。
しかしながら今作においては執拗に「友情」であることが強調されます。対比としての「裕一」の妻「美晴」の存在も巧い。
不安定なものが安定しかかって不安定になって……おそらく誰もが持ちうる感情の揺れ幅を見事に描き、それを「友情」として変奏する。これはなまじ純愛なんて言葉を信じるよりか、かなりの説得力がある方法ではないのかと、思いました。(まぁその友情の意図的な誤読がBLの文脈へと繋がっていくことは想像に難くないのですが、たまには「美しい」ものは「美しい」って言ってもいいんじゃないんですか?ねぇ?)

さとちゃんありがとう、かなりよかったよ。