すべてはゼロから始めるために

小説家志望の雑記です。

『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 第二回』

やっぱり買って、正解だった……。

『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 第二回』
著:秋山瑞人 イラスト:藤城陽
【初出】電撃hp (Volume44)

「月華」が「涼孤」と「再会」する物語。
 文章から第1回にはあった力みが消えて、すらすらすらすら読める!剣法を説明する圧倒的な情報の奔流が心地いい!各キャラクターが「生きて」いる!彼ら彼女たちの、癖から好き嫌い、諦観と寂寥が容易にイメージの俎上に載ってくる!ああああああすげぇ!すごすぎる!

 ……そして今回によって、この『DRAGONBUSTER』の方向性が見えて来たのではないのかと、KASUKAは考える。
 今作において秋山瑞人は「認識の齟齬」と、それから生じる「価値観の変転」によって読者にカタルシスを与えようとしているのではなかろうか。
 この「龍盤七朝」の世界において出自/身分/階級/剣の腕によって名前を持つキャラクターのみならずモブでさえ多様な価値観を持っているように、見事に描写/活写されている。
 しかしながら当然、各キャラクターに見える事実はひとつしか存在しない。各キャラクターの背後に立った視点だからこそ、そう描写される。
 しかし読者は違う。
 読者は各キャラクターがどのように「現実を誤認」しているかを知っている。
 今回特にそれが顕著なのが、「月華」と「涼孤」の「再会」である。この「再会」は「月華」の視点に立ったものであり、実際には「涼孤」は最初の出会い(第1回)を覚えておらず、今回が「涼孤」の「最初の出会い」となる/なった。
 そして「公平な立場」という言葉を引き合いに出すことによって秋山瑞人は執拗なまでに相対化を行おうとしている。「月華」と「涼孤」の「認識の齟齬」を執拗に強調している。ふたりがまったく別の価値観を持っていると。「月華」は天真爛漫であり、「涼孤」は出自からくる諦観であると。(ここでKASUKAは邪推する。この「涼孤」の諦観は現代におけるある種の「どうしようもない」という感情に非常に近いのではないのかと)
 この異なった価値観を持ちうるふたりが、ようやく今回再会し/出会った。そう、再会し/出会ったのだ。
 これからふたりがどんな化学反応を見せてくれるのか、非常に楽しみである……。

 次回もやっぱり買いだな!