ブックスエコーロケーション

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『ライトジーンの遺産』

ライトジーンの遺産 (ソノラマ文庫)

ライトジーンの遺産 (ソノラマ文庫)

人類そのものを支えるはずの人工臓器。そしてそれに絡む事件や奇怪な現象が耐えない未来都市。菊月虹は、そんな大都会の庭で自由に生きる。紙の本とお気に入りのウイスキーがあればいい。だが、彼は大手人工臓器メーカー「ライトジーン」の遺した人造人間。それゆえに臓器を巡る犯罪と無縁ではいられない。市警中央署第4課、通称「便利屋」の新入り刑事とともにハードな捜査にたずさわる日々が続く。

うーんあらすじだとなんだか安っぽいなぁ…
ストーリーは一話完結の短編連作形式で、各話ごとに人体のさまざまな部位を関したタイトルとそれにまつわる人工臓器の物語が展開されます。
それは探偵役の「菊月虹」が解決していく。。。
虹の軽妙な語り口とサイファとしての世界認識の齟齬によって、読み手の立脚点を揺さぶり、安心させてくれません。
ただ実験的な要素が少ない分、エンターテイメントとしてきちんと成立していました。
最終章「ザインの卵」のラストシーンはなんだかほっとして読んで良かったなぁという気持ちにさせてくれました。