ブックスエコーロケーション

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『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 第1回』

がぁー実家の書店にゃあ電撃hpがねぇし!!!
というわけで一日遅れで購入。
ついに詳細が明らかに!
それはなんと秋山瑞人待望の新作にして、古橋秀之との中華武侠シェアワールド企画!
企画の概要は「龍盤」と呼ばれる世界には七つの王朝があって、それを「歴史家」たる秋山古橋両名が描き出していく、といったもので、秋山先生が「狭くて細かい話」を古橋先生が「大きい大雑把な話」を描くことによって「あたかも僕(古橋)がウワーって広げた風呂敷が全部細かく設定されているように見える」そうです(笑)そして各時代によって雰囲気や技術水準は異なるようで、この間の話が今回では伝説になっている、というような遊びができるみたいです。
なんだかこれ、川上稔に真っ向勝負って感じがするような(笑)
まぁふたりを合わせても刊行スピードは勝てないでしょうけれど、ライトノベルの中のマイノリティ同士の競演/意地のようなものが感じられて、わたしはさらに楽しみになってまいりましたよ!

それでは小説の、レビューです。

『龍盤七朝 DRAGONBUSTER 第1回』
著:秋山瑞人 イラスト:藤城陽
【初出】電撃hp VOLIME43

待望の秋山節がページを開いた瞬間、目に飛び込んできました。
黒っ。改行少なっ。
今回のはまだ序章と第一章といった感じなのでストーリーについては触れません。むしろ触れられません。
構成は王道のボーイミーツガールを踏襲しているものの、出会いの場面ではきちんと外すところは外して見せてくれます。さすがです。
文章はかなりうまくなっているように思いました。勢いで生じる熱量みたいな部分をきちんとコントロールして、静かに内側に溜め込め、要所要所で爆発的に開放します。鳥肌ものでした。
ただ、SF的なガジェットと違って「武侠小説」を過分に意識して書いているせいなのか、どうにもぎこちなかったりかっこつけようとしている部分が目立ち「すげぇすげぇ」の連続、って感じではなかったです。
まぁそのあたりは文庫化の際にいくらでも修正されるでしょうから、気にしなくてもいい点なのかも知れません。
イリヤの空、UFOの夏』がどこか熱量と勢いで勝負していたのに比べ、今作は濃密でハイレベルな技術で勝負といった印象でしょうか。
いいたとえではありませんが『イリヤ〜』が高校野球なら、今作はプロ野球といった感じでしょうか。

あと『ⅠⅩ(ノウェム)』の「鏢師」がでてきておお!?ってなったのも思惑通りなんでしょうね、この企画の(笑)

「だてに長い間休んでいませんよ、ふふん」
そんな声が聞こえてきそうな、明確な成長が感じられる今作、古橋先生とのコラボがどのレベルで結晶してくるのか、かなり楽しみです。
これからは当分、電撃hpは買いですな!